第565章:藤原社長は時田浅子のキャリアにおける最大の障害!

「そういう考えを持っているなら安心だわ。そうそう、藤原社長があなたの安全を守るために二人のボディーガードを増やすと言っていたけど、この手配を受け入れるかどうか聞きたかったの。」

「受け入れるわ。」時田浅子は頷いた。

「それならよかった。これでどこに行くにも私も少し安心できるわ。この話はもうやめましょう。仕事の予定について話しましょうか。」

「いいわ。」

森山緑はファイルを開き、時田浅子の前に置いた。

「現在、あるドラマの制作チームと交渉中で、女優第四位の役を獲得しようとしているの。この役は出番は多くないけれど、キャラクター設定が充実していて、視聴者に好感を持たれやすいわ。この役を手に入れれば、あなたが正式に映像業界に足を踏み入れるための最高の足がかりになるわ。」

「どのくらいの可能性があるの?」

「八割方ね。オーディションの通知を待っているところ。通知さえ来れば、ほぼ確実だと思うわ。それから商業イベントが二つあって、日程はすでに確定しているわ。契約書は後で見せるわね。『天籟の饗宴』の第二回の収録日も決まったわ、10日後よ。確認したけど、商業イベントとは全く重ならないわ。」

「それだけ?」時田浅子は期待に満ちた表情で森山緑を見つめた。

夏休み全部でこれだけの仕事しかないの?

「まずはこれらの仕事をこなしましょう。私がこれらを手配するのも、藤原社長に厳しく叱られるリスクを冒してのことなの。ゆっくり進めましょう。『天籟の饗宴』の収録が終わったら、すぐに他の仕事を手配するわ。その頃には、ドラマの方も決まるかもしれないし、撮影が始まれば忙しくなるわよ。」森山緑は優しく時田浅子を慰めた。

「緑ねえさん、大変ね。1年契約が終わったら、できるだけ契約解除して、一緒に独立しましょう!」

時田浅子の言葉を聞いて、森山緑の血が沸き立った。

彼女は時田浅子と一緒に独立したかった!とても!

藤原社長の存在は、時田浅子のキャリアにおける最大の障害でしかない!

……

時田浅子が受けた二つの商業イベントのうちの一つは、帝都で年に一度開催されるアニメ・コミックイベントだった。

彼女がそこの二次元キャラクターの声を担当していたため、特別招待ゲストとしてショーに参加することになった。