藤原時央……彼は藤原という姓なのか!
林聡明の頭の中で、何かが突然繋がった!
まさか……
「自己紹介させてください。私は藤原時央、浅子の夫です」藤原時央が突然口を開き、自分の身分を明かした。
「お前が……お前が……時田浅子と結婚したのはお前なのか?」林聡明はどもりながら尋ねた。
「そうです」藤原時央は再度確認した。
林聡明は石のように固まり、その場に立ち尽くした。
この瞬間、彼の心境は雷に打たれたようだった!
「どうしてここに来たの?」時田浅子は小声で藤原時央に尋ねた。
「君がこんな場所に来て、こんな人に会うなんて、一言も言わなかったじゃないか。もし何かされたらどうする?」藤原時央は愛情たっぷりの口調で問い返した。
宮本凪はこの光景を見て、胸が痛くなった。
時田浅子は藤原時央の言葉に反論できなかった。
さっき彼が時間通りに現れていなければ、今頃は林聡明に殴られていただろう。
「もう行ってもいいかな?」藤原時央は時田浅子に尋ねた。
「うん」時田浅子はうなずいた。
藤原時央は彼女の手を自分の腕に絡ませ、「行こうか」と言った。
時田浅子は振り返って宮本凪を一瞥したが、何も言わず、藤原時央について行った。
宮本凪は今や真実を知り、林父娘に弄ばれることはないだろう。これからどう対処するかは彼次第で、彼女には何の関係もなかった。
藤原時央と時田浅子が去った後も、林清子はまだ衝撃から立ち直れずにいた。
彼女の以前の推測は、藤原時央の出現と態度によって完全に崩れ去った!
藤原時央のどこが時田浅子を気にかけていないというのか、明らかに心の底から大切にしている。彼が時田浅子を抱き寄せた時、彼女の心まで震えたほどだった!
だから、彼女は一体何を見逃していたのだろう?
藤原家は最初、彼女を探し、藤原時央と結婚させようとしていたのだ!
もし彼女が藤原時央と結婚していたら、藤原時央が目覚めた後、彼女の優しさを感じ、彼が植物人間だったことを気にせず、一途に彼女を愛し、大切にしただろう!
つまり、藤原時央が時田浅子を特別愛しているわけではなく、彼女が植物人間だった藤原時央と結婚していたとしても、同じように藤原時央の心を掴めたはずなのだ。
林聡明はこの事実を消化しようとしていた。