藤原時央は突然頭を下げ、時田浅子のスプーンを口に含み、そのスイーツを一口食べた。
斉藤若春はその場で固まった。
ありえない!
これは絶対にありえない。
藤原時央はあんなに食べ物に好き嫌いが激しいのに、どうしてこんな甘ったるいものを食べられるの!
これには、生クリームがたっぷりかかっているのよ!
藤原時央が一番嫌いなのはこういうものだったはず。
時田浅子は振り返り、斉藤若春を見つめた。
彼女は否定しない、斉藤若春のあの信じられないという表情を見たとき、心の中で本当に少し気分が良かった!
彼女は斉藤若春に何もできないけれど、彼女と藤原時央が親しくするだけで、斉藤若春を殺すよりも辛いはずだ!
「斉藤さん、どうして時央がスイーツを食べないと知っているの?彼はとても好きなのよ、そうでしょう、時央?」時田浅子は振り返って藤原時央を見つめ、甘い笑顔を向けた。
この急な変化に、藤原時央も反応できなかった。
続いて、もう一口のスイーツが彼の前に差し出された。
「もう一口どうぞ」時田浅子は甘えた声で言った。
彼女は知っていた、たとえ藤原時央が好きでなくても、もう食べたくなくても、彼女の甘えた態度のために、彼はためらうことなく食べるだろうと。
事実、彼女の予想通り、藤原時央はもう一口食べた。
斉藤若春はそばでそれをはっきりと見ていた!
藤原時央はこの一口を食べ終わると、時田浅子にまた食べさせられるのを避けるため、彼女の手からスプーンを取り、今度は彼女の口元へと運んだ。
彼はこのスプーン一杯で、残りのスイーツをすべて時田浅子の口に詰め込んだ。
時田浅子の小さな口はもう入りきらず、クリームが唇の端についた。
この光景に、藤原時央は少し見覚えがあるような気がした。
乳白色のクリームが彼女の桜色の唇についているのを見て、彼の脳裏にある光景が浮かび、思わず喉仏が動いた。
時田浅子がちょうどナプキンで口角のクリームを拭おうとしたとき。
藤原時央は突然彼女に近づき、彼女の唇にキスをした!
時田浅子は驚いて目を見開いた。
この行動に、斉藤若春と宮本凪も目を丸くした!
時田浅子は逃げようとしたが、次の瞬間、大きな手が彼女の後頭部を押さえ、彼女は逃げるどころか、さらに彼に向かって身を寄せることになった!