「時田浅子、私がこうしたのは、主に私たちの間に誤解が生じないようにするためであり、また私の実際の行動で証明したかったのです。金恵の行動は私とは全く関係がないということを。今、私を信じてくれますか?」斉藤若春は誠実な表情で応えた。
「信じますよ、どうして信じないことがありますか?」時田浅子は笑いながら頷いた。
「あなたが信じてくれるなんて、本当に良かった」斉藤若春は非常に興奮した様子を見せた。
時田浅子はグラスを持ち上げ、斉藤若春と軽く触れ合わせた。斉藤若春はグラスを持ち上げ、中の酒を飲み干した。
時田浅子は振り向いて、藤原時央を見た。
「時央、私は少ししか飲めないけど、でも斉藤社長に敬意を表して乾杯したのに、飲み干さないのは失礼よね。私は一口だけ飲むから、残りはあなたが飲んでくれる?」
「いいよ」藤原時央は溺愛するように頷いた。
時田浅子は軽く一口だけ飲み、グラスを藤原時央に渡した。
彼女自身、自分の行動がとても作為的だと感じていた。
しかし、斉藤若春の青ざめていく顔色を見て、彼女の心はとても溜飲が下がった。
藤原時央はグラスを受け取り、一気に飲み干した。
藤原時央が時田浅子に従順な様子を見て、斉藤若春の心の中には憎しみが渦巻いていた。彼女はグラスをきつく握りしめ、時田浅子を自分の手で絞め殺したいほどだった。
「斉藤社長、さっきあなたは時央がデザートを食べないと言いましたね。あなたは時央のことをよく知っているようですね。そんなに長い間知り合いなのに、時央についてほかにどんな小さな秘密を知っていますか?よかったら教えてください、私も気をつけたいので」時田浅子は真摯な笑みを浮かべた。
斉藤若春が演技が上手いなら、彼女だってできる。
彼女も自分がどうしてこうなったのか分からなかった。
斉藤若春と宮本凪が一緒にいると聞いて、彼女がここに来たのは、主に藤原時央がどうしても宮本凪と会いたがったからだ。だから彼女は斉藤若春も引き込んで、誰がより居心地悪くなるか見てみたかった。
来てみると、藤原時央は少しも居心地悪そうではなく、むしろ彼女自身と斉藤若春が張り合っていた!
斉藤若春は歯ぎしりするほど怒っていた。
時田浅子の行動は、彼女の目には挑発にしか見えなかった!