黒いシャツの下には、白く引き締まった胸板があった。
同じことでも、別の人だったら、その光景はきっと目に痛く、とても下品に見えるだろう。
しかし、ここに立っているのは藤原時央だ。
まるで芸術品のように完璧だった。
時田浅子は思わず唾を飲み込んだ。
「魚に餌をあげてくる!」彼女は突然立ち上がり、水槽の方向へ走っていった。
藤原時央は彼女を追いかけず、笑いながらソファに座った。
時田浅子は魚の餌を少し水槽に入れ、次に霧吹きを手に取った。「少し水を汲んできて、この植物たちに水をあげるわ」
藤原時央は彼女を止めず、彼女が彼の前で忙しそうに動き回る姿を見ていた。
気づかないうちに、30分が過ぎていた。
彼が時田浅子が雑巾を取り出し、家中の棚を全部拭こうとしているのを見たとき、彼はついに我慢できなくなり、立ち上がって時田浅子の手を引いた。
時田浅子は彼に引っ張られてソファに倒れ込み、彼の腕の中に落ちた。
彼女の手は彼の胸にぴったりとくっついていた。
「こんなに長い間、まだ私の目をまともに見れないの?」藤原時央は笑いながら尋ねた。
時田浅子は顔を上げて彼を見た。
「魚にも餌をやったし、花にも水をあげた。今度は私の面倒を見てくれないか?」
「私...私、服を洗ってくる!」
「服の面倒じゃなくて、この人間の面倒だよ」藤原時央は身を低くして彼女の耳を噛んだ。
時田浅子はすぐに空気の抜けた風船のように、藤原時央の腕の中でくたっとなった。
「時央、明日、母のことについてどうするつもり?」
「お母さんにもうこの件について言及させないようにしたいか?」藤原時央は彼女にキスしながら尋ねた。
「もちろん望んでるわ。でも合理的な説明がなければ、母は諦めないわ。私は母のことをよく知ってるから」
「私にはできる」藤原時央は確信を持って言った。
「再婚しなくてもいいの?」
藤原時央は彼女の顎を摘まんで、うなずいた。「ああ!」
本当に離婚してないのに、何を再婚するんだ!
「でも、今日のあなたの振る舞い次第だね」
時田浅子は自ら彼の首に腕を回した。
「違う」藤原時央は首を振った。
時田浅子はためらった。
次の瞬間、金属のバックルがカチッと音を立てた。
藤原時央はすぐに少し楽になったと感じた。さっきまで本当に我慢していたのだ。