「誰のせいであんなに太ったんだ」白沢清志は車の窓から団団を引っ張り出し、抱きかかえた。
団団の小さな顔には不満の表情が満ちていた!
「ぼくは太ってないよ、ぼくはかわいさで膨らんでるだけ!」
「そうだな、膨らんでる、倍に膨らんでるな」白沢清志は息子に少しも情けをかけなかった。
突然、遠くから車のエンジン音が聞こえてきた。
白沢清志はナンバープレートを見るなり、すぐに団団を中村佳奈恵に渡した。
藤原時央はすでに時田浅子に電話をかけ、客が来ることを伝えていた。彼は白沢清志が今頃車庫にいるだろうと予想していた。
彼は車のドアを開けて降り、白沢清志の方へ歩いていった。
団団は白くてぽっちゃりした小さな手をひねりながら、藤原時央を観察していた。
「ママ、このおじさん誰?団団見たことない」