第628章:子作りの大軍

時田浅子は菓子を入れる棚を開けると、中はぎっしりと詰まっていた。

これらはまだ前回彼女と藤原時央が下のショッピングモールに行った時に買ったもので、彼女はまだ食べる機会がなかった。

「わあ!こんなにたくさんの美味しいものが!」中村佳奈恵も見つけて、すぐに立ち上がって近づいた。「これがほしい」

「ママ、実はご飯を食べたくないで、お菓子が食べたいんでしょう?」団団は大きな目をパチパチさせながら中村佳奈恵を見た。

中村佳奈恵は大きなお菓子の袋を抱えながらにこにこと息子の頭を撫でた。「ママはあなたがたくさん食べると虫歯になるのが心配なの。ママの歯はもう生え変わったから、小さな虫さんは怖くないけど、あなたの歯は怖いのよ!」

時田浅子:こんな風にごまかせるの?

団団はすぐに頷いて、大きな袋を一つ時田浅子に渡した。

「これはお姉ちゃんに。お姉ちゃんも歯が生え変わったよね」

「ありがとう、団団」

団団はさらに小さな袋を取り出した。「団団は小さいのを食べる。歯が悪くならないように」

三人はそれぞれお菓子の袋を持ってソファに戻った。

時田浅子と中村佳奈恵は同時にキッチンの方向を見て、それから二人は気まずそうに視線を合わせ、思わず笑ってしまった。

時田浅子は、初めて中村佳奈恵に会ったのに、とても気が合うと感じた。

中村佳奈恵はなおさらだった。彼女はまだ少し緊張していた。結局のところ、自分の憧れのアイドルに会ったのだから。

「浅子、連絡先を交換して、WeChatも追加しましょう」

「いいわよ」時田浅子はすぐに携帯を取り出した。

「最近『宮廷の陰謀』を見てるの!あなたの声がテレビの中のと少し違うように感じるわ」中村佳奈恵は実は時田浅子にドラマのヒロインの声で話してもらいたかった。生で体験したかったのだ。

「私は初夏の虹を忘れられないだけではなく、あの馬に乗った少年も忘れられない。まるであの途切れた虹は彼のために輝いていたかのように」時田浅子はセリフを一つ言った。

「わあ!あああああ!」中村佳奈恵は興奮してプレーリードッグのような声を上げた。

キッチンで忙しくしていた二人は同時に振り返り、リビングの方を見た。