第636章:藤原さまを理解し始める

彼女はミルクの作り方を知らないのよ!

時田浅子はミルク缶を抱えて出て行った。

藤原時央と団団も洗面を済ませて出てきた。

「時央、あなたはミルクの作り方を知ってる?」時田浅子は藤原時央に助けを求めた。

「知らないよ」

「私も知らないわ。このミルク缶に説明書きがあるはずよね?」時田浅子はミルク缶を回しながら作り方を探した。

藤原時央も近づいてミルク缶の文字を見た。

「ここには、ミルクスプーン1杯に対して50mlのお湯で溶かすと書いてあるわ」時田浅子は説明書きを指さした。

「哺乳瓶は?」藤原時央は静かに尋ねた。

「ここだよ!」団団はすぐに哺乳瓶を差し出した。

藤原時央は手に持った哺乳瓶を見た。目盛りがついている。彼は団団に尋ねた。「小デブ、君はどのくらいの量を飲むの?」

「ぷっ!」時田浅子は思わず吹き出した。

飲む量?

彼女はこの言葉を初めて聞いた。

これはミルクを飲むのであって、お酒を飲むわけじゃないのに。

「僕の飲む量はだいたいここまでだよ」団団は真剣にこの質問に答え、小さな手で哺乳瓶の目盛りを指さした。

「250ml、水を汲んでくる」藤原時央は振り返ってキッチンへ向かった。

時田浅子はミルクを作る準備をした。

二人は一人が哺乳瓶を持ち、もう一人がミルクをすくった。

5杯のミルクを入れると、藤原時央はすぐに哺乳瓶を団団に渡した。

「振らないの?」団団は不思議そうに尋ねた。

「どうした?飲む前に振るの?」藤原時央は聞き返した。

時田浅子は哺乳瓶を受け取った。「均一に混ぜないでどうやって飲むの?」

数回振った後、彼女は哺乳瓶を団団に渡した。

「団団、以前飲んでいたのと同じ味かどうか試してみて」

団団は受け取って一口飲んだ。「味が前に飲んでいたのと違うよ!」

時田浅子はハッとして、急いで藤原時央に尋ねた。「私たち間違えたのかしら?」

すると団団の声がまた聞こえた。「お姉ちゃんが作ったミルクの方がもっとおいしいよ!」

時田浅子:……

藤原時央:……

「ありがとう、お姉ちゃん」団団は甘く礼を言った。

藤原時央の心中は複雑だった。

この小デブは彼の目の前で彼の女を口説くとは!

朝食を終えると、藤原時央は自ら車を運転して時田浅子と団団を実家に連れて行った。

実家に近づくと、時田浅子はまだ少し心配していた。