団団はおとなしく小さな椅子に座っていた。
時田浅子はすぐに藤原時央が彼女に近づいてくるのを感じた。
彼女は急に緊張して、背筋を伸ばした。
藤原時央はこれ以上近づいてこないよね?
彼女は周りを見回した。
おじいさんは一人掛けのソファに座り、杖を手に持ちながらテレビを見ていた。
もう一方の二人掛けソファには彼女の母親が、向かいには時央の母親が座っていた。
彼女と団団、そして時央の三人はこの長いソファに座っていた。
こんなに大人たちがいるのに、藤原時央は一体何をするつもりなの!
突然、腰に力が加わり、藤原時央が彼女を抱き寄せた。
時田浅子の心臓はドキドキと高鳴った。幸い、彼女の腰にはクッションがあり、胸にも抱き枕を抱えていたので、藤原時央が彼女を抱き寄せるこの動作はそれほど目立たなかった。
藤原時央はまだ満足せず、さらに時田浅子に近づき、二人はほとんどくっついていた。
おじいさんは目を上げて一瞥し、笑いをこらえながら、わざと何も見なかったふりをして、テレビに目を向けた。
大木嵐はおじいさんの表情がおかしいことに気づき、藤原時央と時田浅子の方向をちらりと見た。
さっきまで時央と浅子の間にはあんなに距離があったのに、今はどうして寄り添っているの?
彼は団団を追い払って、団団が浅子を抱くのを許さなかったのに、自分は抱きついている。
大木嵐は時田秋染に視線を送り、時田秋染は振り返って一目見た。
時田浅子は母親が彼女の方を見ているのに気づき、顔が赤くなった。彼女は藤原時央の手を払おうとしたが、払えなかった。
時田秋染はすぐに視線を逸らし、何も見なかったふりをした。
時田浅子は居心地が悪くて仕方なく、藤原時央をにらみつけた。
藤原時央は彼女を見て、明るい笑顔を見せた。
「始まった!始まった!お姉ちゃん、お姉ちゃんだよ!」団団は興奮してテレビを指さした。
画面には時田浅子の写真が映し出され、オープニングが始まった。
団団は興奮して振り返り、時田浅子を見た。「お姉ちゃんが本当にテレビに出てる!」
突然、彼は藤田叔父様がお姉ちゃんを抱き寄せている手に気づいた。
すぐに頬を膨らませ、「ふん!叔父さん、団団がお姉ちゃんを抱っこするのを許さないのは、自分がお姉ちゃんを抱きたいからだったんだね!」