第639章:二つの心、徐々に近づく

顧惜と容湛はちょうど海に向かうクルーズ船に乗り込んだところで、容湛はダイビングの装備を身につけて水に入る準備をしていた。

顧惜は突然携帯が鳴ったことに気づき、「ダーリン、ちょっと待って、誰からメッセージが来たか確認するわ」と声をかけた。

顧惜は携帯を取り出すと、時田浅子からのメッセージだと分かり、すぐに開いた。

なんと団団の動画だった。

「ダーリン見て、浅子と時央が団団を動物園に連れて行ったのよ!二人とも子供の面倒見が上手いわね!」顧惜はある方向を指さした。

「動物園?」容湛は少し疑わしげに思い、携帯を受け取ってその動画をじっくり見た。

「これは動物園じゃないぞ!藤原家の本邸みたいだ!」

「藤原家の本邸?」顧惜は藤原家の本邸に行ったことがなかったので、判断できなかった。

すぐに、時田浅子からまた別の動画が送られてきた。

「藤原時央は本当に団団を実家に連れて行ったんだ!」容湛は興奮のあまり、手が滑り、ぽちゃんと海に落ちてしまった。

「ダーリン!」顧惜は緊張した様子で叫んだ。

容湛は水の中でばしゃばしゃとして、体勢を立て直した。

「お爺さんは団団をとても気に入ってるみたいよ。見て、団団のために鶏を捕まえさせて、お昼に団団のために鶏のスープを作るつもりみたい」顧惜は携帯を指さしながら水中の容湛に言った。

「もういい、もういい、見なくていい。お爺さんを見ると足がガクガクするよ」

「わかったわ、ちょっと待ってね」顧惜は動画を撮って時田浅子に送り、携帯を傍らの人に預け、装備を整えて自分も水に飛び込んだ。

彼女と容湛の計画は、まずダイビングをして、それからサーフィンをすることだった。

二人はずっとこんなにのんびり遊ぶことがなかったので、今回はしっかりリラックスして、思いっきり楽しむつもりだった。

時田浅子のほうでは、鶏はすでに捕まえられていた。

ちょうど顧惜から送られてきた動画を受け取ったところだった。

動画に映る青い海面とヨットを見て、とても楽しそうだと感じた。

「何を見てるの?」藤原時央が近づいてきた。

「見て、顧惜が今送ってきたの。この場所、とても楽しそうに見えるわ」時田浅子は携帯の画面を指さして藤原時央に見せた。

「ここはプライベートアイランドだよ。行きたければいつでも連れて行くよ」