「うん!」時田浅子は頷いて、もう一口飲んだ。「あの時のあなたは本当に嫌だった!」
「思い出させようか、あの夜君が僕にどうキスしたか?」
「いやよ!」
しかし、藤原時央は彼女に拒否する機会を全く与えず、一気に彼女を抱き寄せ、まるで赤ちゃんを抱くように彼女を抱きしめた。
時田浅子のこの角度からは、ちょうど彼の横顔のシルエットが見えた。
彼女は思わず指を伸ばし、彼の輪郭に沿って指を這わせ、最後に彼の顎で止まった。
突然、遊び心が湧いて、彼の顎をくすぐった。
藤原時央は素早く彼女の手を捕まえた。
時田浅子は何かを発見したかのように、異常に興奮して言った。「くすぐったがりなのね!」
藤原時央:……
時田浅子はすぐに手を伸ばしてくすぐり、藤原時央の反応は確かに彼女の推測を裏付けた。
藤原時央は彼女の両手首を握り、彼女がこれ以上動くのを防いだ。「浅子、君は自分が何をしているか分かっているのか?」
「あなたをくすぐっているの。」
「いや、君は火遊びをしている。僕はくすぐったがりじゃない、この手が至る所で火をつけるのが怖いんだ。ケーキを食べても足りないよ、分かる?」
時田浅子:……
藤原時央は彼女が大人しくなったのを見て、テーブルの上のスイカを一切れ取って口元に持っていった。
時田浅子がまだ気づかないうちに、頭を下げて彼女に食べさせた。
彼の力が強すぎて、スイカの切れ端が彼女の口に入った途端にスイカジュースになってしまった。
時田浅子はもう少しで息が詰まるところだった。
スイカの味が完全になくなるまで、藤原時央はようやくそのキスを終えた。
時田浅子は彼の腕の中でふにゃふにゃと寄りかかり、おとなしい子猫のようだった。
「あの日のタンフールーを覚えている?」
時田浅子は首を傾げてこれらのフルーツを見ると、突然頭の中にあるシーンが浮かんだ。
「どのフルーツが食べたい?」藤原時央は笑いながら尋ねた。
時田浅子はこのシーンがとても馴染み深いと感じた。
頭の中では藤原時央と彼女がキスをするシーンが浮かんだが、彼らが食べていたのはフルーツではなく、タンフールーだった。
彼女は突然、現実と夢の区別がつかなくなった。
「あの夜、私があなたにキスしたんじゃないでしょ!」
「思い出した?」