「あなたのお母さんの心の中では、あなたはきっとこの世界で一番素晴らしい子どもなのよ」藤原時央は優しく応えた。
「あなたもそうよ」時田浅子は返した。
藤原時央は微笑んだが、何も言わなかった。
彼は自分が母親の心の中で良い子どもと言えるのかどうか分からなかった。
彼は、おそらくそうではないと思った。
二人はしばらく歩き続け、時田浅子はお腹が空いてきたと感じた。彼女はレストランに行きたくなかったが、むしろ以前学校に通っていた頃の学校近くの小さな食堂が恋しくなった。様々な軽食があり、手頃で美味しかった。
彼女は藤原時央を見て、すぐにその考えを打ち消した。
藤原時央を連れて麻辣湯を食べに行くなんて、彼女は絶対に狂っているに違いない。
「もう遅いし、お腹空いてない?どこかで食事しようか?」藤原時央は時田浅子に尋ねた。
「少しお腹が空いたわ。何を食べに行く?」
「何が食べたい?」
「この辺で一番いいレストランは…ちょっと待って、調べるわ」時田浅子は携帯を取り出して検索し始めた。
藤原時央は手を伸ばして彼女の携帯を奪った。「一番いいレストランを探す必要はない。あなたが食べたいものを食べに行こう」
「私が食べたいものなら何でもいいの?」時田浅子はもう一度確認した。
「もちろん」藤原時央はうなずいた。
「行こう!」時田浅子は彼の手を引いてバイクを停めた場所へ走っていった。
十数分後、彼らは学校の裏にある小さな食堂に到着した。
ここには一軒だけでなく、多くの小さな食堂が集まっていた。
時田浅子は休みの日で店が開いていないのではないかと心配していたが、意外にも人が多かった。
どうやら、この場所はすでに規模が大きくなっていたようだ。
「ここは環境はあまり良くないけど、味はとても良いのよ。高校生の時は、ほぼ毎週ここに来て食べていたわ」
「この店?」藤原時央は人が一番多い店を指さして尋ねた。
時田浅子はうなずいた。
藤原時央は彼女の手を引いて中に入った。時田浅子が心配していたような不快感は全く見せなかった。
「お二人ですか?」店主は熱心に声をかけた。「お好きな席にどうぞ」
時田浅子は藤原時央を引っ張って二階へ向かった。
二階は屋根裏部屋で、オープンエアだった。
この時期は暑いので、きっと誰も座っていないだろうと思った。