031 彼女を追いかけて、愛でて!

その場にいた全員が目の利く人たちで、島田香織をじっくりと観察したものの、特別な点は見つけられなかった。

もしかして島田香織が以前藤原家の次男の妻だったからだろうか?

でもそれじゃ筋が通らないよね!

あるいは島田香織は誰かのパトロンに飼われている愛人なのか?

皆が考えれば考えるほどその可能性が高まり、おそらくそのパトロンと鈴村おじいさんの関係が良好で、だからこそ鈴村おじいさんが島田香織にこれほど好意的なのだろう。

上座に座っていた藤原おじいさんは複雑な表情で島田香織を見つめ、鈴村おじいさんが戻ってきたのを見て、笑顔で尋ねた。「鈴村さん、島田香織は私の孫の元妻ですが、ご存じでしたか?」

「元妻?」鈴村おじいさんの笑顔が消え、厳しい表情で尋ねた。「彼女が、あなたの家の藤原航の元妻?」

「ええ」藤原おじいさんは胸に不吉な予感を感じた。彼は島田香織を野育ちの娘だと思っていたが、今となっては、島田香織の身分は単純ではないようだ!

鈴村おじいさんは嫌悪感を露わにして藤原おじいさんから視線を外し、傍らの息子に言った。「後で鈴村元樹にあの島田香織を追わせろ。必ず手に入れるんだ。もちろん、彼女を大切にしなければならない。決して卑劣な手段を使ってはいけないぞ!」

そう言って、鈴村おじいさんは一旦言葉を切り、続けて言った。「島田香織が望むものは何でも、鈴村元樹のバカ息子に与えさせろ」

鈴村おじいさんの息子である鈴村源治は一瞬呆然として、ぼんやりと頷いた。家のことは全て父親が決めることなので、彼は全く意見を言う勇気がなかった。

この時、藤原おじいさんの表情は更に悪くなった。彼は元々、島田香織のような離婚歴のある中古品は誰も欲しがらないと思っていたのに、まさか鈴村おじいさんがそんなことを言うとは!

もしかして自分が間違っていたのか?

島田香織の身分は並大抵のものではないのか?

藤原おじいさんは考えれば考えるほど不安になり、眉間にしわを寄せ、目に怒りの色が浮かんだが、すぐに隠した。

その時。

藤原昭子は冷たい表情で傍らに立ち、島田香織の前に歩み寄り、極めて不満そうに尋ねた。「言いなさい、鈴村おじいさんに何か怪しげな薬でも飲ませたの?」

島田香織は藤原昭子と話す気はなく、陣内美念と一緒に立ち去ろうとしたが、また藤原昭子に遮られた。