030 パトロンは誰?

島田香織は素早くシャワーを浴び、着替えを済ませて出てきた。陣内美念と一緒に誕生祝いの宴会場に戻った。

藤原昭子は島田香織と陣内美念が無事に階下に降りてくるのを見て、理解に苦しみ、小声で言った。「島田香織は鈴村元樹と一緒にいるはずじゃないの?どうして降りてきたの?」

傍らの橋本月見は困惑して首を振り、とても戸惑った様子で言った。「分からないわ。私たちの勘違いだったのかしら?」

藤原昭子は息を飲み、おびえた様子で言った。「そ、そんなはずないでしょう!」

藤原昭子と橋本月見の二人は今、島田香織から目を離さず、彼女の表情から何か異常を見つけ出そうとしていたが、島田香織には何の問題もないようだった。

藤原昭子は考え込んで、厳しい表情で言った。「このままじゃダメよ。彼女に仕返しをしなきゃ。絶対に楽にはさせない!」

「私も一緒に行くわ」橋本月見は単純に考えた。島田香織を陥れることはできなかったけれど、誰が不運にも鈴村元樹のベッドに上がることになったかは、もう彼女たちには関係ない。今すべきことは島田香織に仕返しをすることだけ!

藤原昭子と橋本月見の二人は島田香織の傍に歩み寄り、まさに口を開こうとした時、島田香織が赤ワインを手に持っているのを見て、一歩後ずさりした。

「島田香織、ここがどんな場所か分かってるの?よくもここに食い逃げしに来れたわね。本当に恥知らずね!」藤原昭子は怒り心頭で言った。島田香織がどのパトロンについてここに来たにしても、彼女は兄の藤原航の顔に泥を塗っているのだ!

藤原昭子は学校では思いのままに振る舞える藤原家のお嬢様で、高慢な態度が染みついていたため、今日の場がどれほど重要かを完全に無視していた。

上座で和やかに談笑していた鈴村おじいさんは藤原昭子の鋭い声を聞き、目を細めて藤原昭子の傍らに立つ島田香織を見つめ、突然表情が変わった。

鈴村おじいさんは席を立って下に降り、急いで藤原昭子と島田香織のいる方へ歩いていった。

鈴村おじいさんは今日の主役で、一挙手一投足が多くの人の心を動かす。全ての人の視線が鈴村おじいさんに注がれた。

島田香織は藤原昭子をじっと見つめ、落ち着いた様子で言った。「藤原さんの体からケーキの香りがしますね。今夜のケーキは藤原さんが作ったんですか?」