049 協力?

島田香織は冷ややかな表情でソファに座り、向かいに座る藤原航を見つめながら、眉を少し上げて冷たく言った。「藤原社長、仕事の件は私のマネージャーと話し合ってください。お忙しい方がわざわざ私のところまで来る必要はありませんよ」

島田香織は藤原航との結婚時を思い出した。当時の藤原航は忙しすぎて会社で寝泊まりし、ほとんど家に帰らなかった。

「この件は秘密裏に進める必要がある」藤原航はソファに寄りかかり、テーブルの上のUSBメモリーに目をやりながら続けた。「多くの人がこの映画の公開を望んでいないことは分かっているはずだ。年内の公開を選んだのは、公開後すぐに海外の審査に出せるからだ」

『スターロード』は女性主人公の映画で、男性主人公の存在感は極めて低い。それは、シングルマザーの娘が枕営業を拒否し、実力で国際的なスターになるまでを描いた作品で、親子愛、友情、そして恋愛が織り込まれている。

久保誠也は元々来年の公開後に海外の審査に出す予定だった。

「映画には特殊効果のシーンが多いから、年内では間に合わないわ」島田香織は眉をひそめて反対した。久保誠也は絶対に映画に一点の瑕疵も許さないはずだ。

「来年は今年以上に良作が多い。それだけでなく、かつてのアカデミー賞主演男優賞・女優賞受賞者の映画も来年公開される。たとえ君の演技が素晴らしくても、審査会は彼らを選ぶ可能性が高い」

藤原航は落ち着いた様子で島田香織を見つめ、続けて言った。「今年審査に出せば、来年主演女優賞を取れる可能性は極めて高い」

島田香織は黙り込んだ。国内の俳優でアカデミー賞主演女優賞を受賞した者はまだいない。『スターロード』の脚本は5年前から練られており、撮影は早く進んだものの、映画の細部は久保誠也が心の中で何度も何度も練り上げたものだった。

「特殊効果のことを心配しているのは分かる。だが、それは全く心配する必要はない。私の特殊効果会社に制作を手伝わせる」藤原航は島田香織が躊躇する理由を理解していたので、予め用意していた言葉を口にした。

島田香織は警戒心を露わにして藤原航を見つめ、美しい瞳を細めて危険な光を宿らせた。突然、彼女は笑みを浮かべ、興味深そうに尋ねた。「藤原社長、なぜ私を助けるんですか?」