084 新しい恋と昔の恋の対面

島田香織はウェイターが林杏と林桃子を近くのソファーに案内するのを見て、興味深そうに陸田健児の方を向いて「これからどうするの?」と尋ねた。

「林桃子も君に会いたがってるって聞いたんだけど、挨拶しに行かないか?」陸田健児は島田香織に笑顔で尋ねた。

島田香織は目を輝かせながら頷き、「そうね、挨拶しておくべきね」と言った。

陸田健児と島田香織はソファーの方へ歩き出した。

今日は島田香織の主役の日で、彼女がいる場所には自然と注目が集まっていた。

ソファーに座っていた林杏は島田香織を見た瞬間、以前殴られた場面を思い出し、思わず体が震え、慌てて立ち上がった。

「なぜここに来たの?」林杏は即座に立ち上がり、冷たい表情で島田香織を睨みつけ、威圧的に言った。

島田香織は林杏を見て軽蔑的な笑みを浮かべ、「林杏、あなたには興味ないわ。私がここに来たのは林桃子に会うためよ」と言った。

藤原航はスタッフの合図で急いで近づき、島田香織と林桃子が向かい合って立っているのを目にした。

記者たちは静かにソファーの方へ移動し、カメラを構えていた。

これは島田香織が初めて林桃子に会う機会で、近くで見ると林桃子は清純で可愛らしい少女だった。もし彼女の年齢を知らなければ、高校生だと思っただろう。

林桃子は緊張した様子で島田香織を見つめ、両手でスカートの裾を軽く握りしめながら、「島田お嬢様」と呼びかけた。

耳に足音が聞こえ、島田香織が振り向くと、藤原航が近づいてくるのが見えた。

島田香織の目に怒りの色が浮かんだ。彼女は藤原航と林杏を憎んでいたが、林桃子に対しては敵意を持っていなかった。藤原航が林桃子を守ろうとして近づいてくるのを見ると、顔が一瞬暗くなった。

「香織、私が前から言ってたでしょう。彼女はあなたには及ばないって」陣内美念は島田香織の隣に立ち、遠慮なく林桃子を値踏みするように見て、舌打ちした。林桃子は骨と皮だけみたいだった。

その場にいた人々は瞬時に状況を理解した。

林杏は陣内美念の言葉を聞き、以前島田香織にいじめられたことの仕返しができると思い、美しい目に涙を浮かべ、すすり泣きながら言った。「陣内さん、なぜ妹をいじめるんですか?妹は何も分かっていないんです。用事がないなら、お帰りいただけませんか?」