112 あなたとだけ一緒にいたい

個室の中。

テーブルの上にはお粥と六品の薄味の小鉢が並べられていた。島田香織は向かいに座っている陸田健児を見上げ、彼の思いやりの深さに感心せずにはいられなかった。

陸田健児がこれほど思いやりがあるのは、生まれつきの性格か、それとも元カノに仕込まれたのか、どちらかだろう。

でもネット上には陸田健児の噂話は全然ないんだよね。

「陸田さん、失礼だけど聞いていい?元カノって誰?」島田香織は本当に気になっていた。一体どんな凄い人物がこんなに思いやりのある彼氏を育て上げたのか。

その言葉を聞いて、陸田健児の笑顔が一瞬止まり、涼しげな目に笑みを浮かべながら言った。「どうしてそんなことを聞くの?」

「気になって。」島田香織はお粥を一口すすり、その香りが口の中に広がった。彼女は陸田健児から目を離さずに言った。「大丈夫、誰にも言わないから。」