144 祠堂で説教！

藤原おじいさんは振り返って藤原昭子を見つめ、彼女の頬の平手打ちの跡に目を留めると、瞳に心痛める色が浮かんだ。

これは彼の可愛い孫娘なのだ！

藤原おじいさんが口を開こうとした時、藤原昭子が甘えた声で話し始めた。

「おじいちゃん、痛いよ」藤原昭子は涙目で藤原おじいさんを見つめ、わざと涙を絞り出した。おじいちゃんは優しい人だから、きっともう叱らないだろうと思って。

藤原昭子の言葉を聞いて、藤原おじいさんは少し戸惑った。

思い出した。以前から藤原昭子は何か悪いことをする度に、彼に甘えてきたのだ。

彼は優しくなってしまい、彼女を可哀想に思い、叱ることができず、ずっとそうして甘やかしてきた。

しかし今は、藤原昭子も大人になった。もう子供ではない。すでに歪んでしまっている。このまま正さなければ、彼女の人生が台無しになってしまう！

「着替えて、祠堂に来なさい」藤原おじいさんは心を鬼にして、厳しい声で言った。

藤原おじいさんの言葉を聞いて、藤原昭子の顔は土気色になった。

思わず体が震え、許しを請おうとしたが、藤原おじいさんの怒りに満ちた顔を見て、一言も言えなくなった。

まずい、おじいちゃんが本当に怒っている。どうすればいいの？

どうしよう？

藤原昭子はその場に立ち尽くしたまま、途方に暮れていた。

藤原おじいさんは言い終わると、もう藤原昭子のことは気にせず、祠堂の方へ歩き出した。

途中で藤原おじいさんは横を向いて、傍らの藤原執事に言った。「昭子を見張って、早く祠堂に来させなさい」

「はい」藤原執事は返事をして、立ち去ろうとしたが、また藤原おじいさんに呼び止められた。

「そうそう、鈴村秀美には連絡させるな」藤原おじいさんは念を押してから、祠堂へ向かって歩き出した。

鈴村秀美は藤原昭子の母親で、優しすぎることで有名だった。

藤原昭子も鈴村秀美の甘やかしの中で育ってきた。

もし鈴村秀美がここにいたら、藤原昭子をきちんと諭すことができないだろう。

今ここで藤原昭子をしっかりと教育しなければ、将来手に負えなくなってしまう。

藤原家の未来は藤原昭子にかかっている。もう甘やかすわけにはいかない。

藤原昭子は別荘の入り口に立ち、恐れを感じていた。

初めて家に帰るのが怖くなった。