154 権限を奪われる

一日目、島田香織はホテルに向かう途中、みんなを二つの観光スポットに連れて行き、みんなは楽しく過ごしていた。ただし、島田香織に話しかける人はほとんどいなかった。

木村嵐がカプセルホテルに泊まることを知った時、表情が変わり、島田香織の前に歩み寄って言った。「島田お嬢様、明日は私がリーダーを務めてもいいですか?」

島田香織は明日の経費を計算していたが、木村嵐の言葉を聞いて、疑問に思って顔を上げた。

木村嵐は島田香織が彼らをカプセルホテルに泊まらせることを受け入れられなかった。彼女はこの狭い寝床が嫌いで、いつも棺桶を連想してしまうのだ。

彼女も、カプセルホテルが比較的安価で、ここに泊まれば経費を節約できることはわかっていた。

「嵐さん?」鈴村野乃花は驚いて木村嵐を見つめ、彼女の腕を引っ張った。年は若いが、物事の分別はついている。嵐さんは意図的に島田香織に挑発的な態度を取っているのだ。

ずっと黙っていた富田洋司が笑いながら前に出て、島田香織を見て言った。「島田お嬢様、あなたはそれでは疲れすぎます。たまには権限を委譲して、あなたも楽しむべきですよ。」

高橋邦弘は富田洋司の言葉を聞いて、目をくるくると回し、続けて言った。「そうそう、島田お嬢様は木村嵐にリーダーを任せましょうよ。そうすれば私たちも好きなものを食べられるし、好きな交通手段も使えるし、地下鉄も何度も乗り換えなくていい。乗り換えばかりで頭が痛くなっちゃう!」

富田洋司が島田香織のことを考えて発言したとすれば、高橋邦弘は島田香織のリーダーとしての適性を批判していたのだ。

島田香織は平然と立ち上がり、木村嵐に笑顔を向けて言った。「嵐さん、本当にリーダーをやりたいんですか?」

「はい。」

木村嵐が答えるや否や、島田香織は手元のお金を全て木村嵐に渡し、言った。「これから五日間あります。」

木村嵐はお金を受け取りポケットに入れ、数を確認してから言った。「みなさん、寝に戻りましょう。明日は九時に起きます。私は誰かさんみたいに六時に起こしたりしません。私たちは楽しむために来ているんですから、楽しまなきゃ。」

そう言って、木村嵐はお金を持って立ち去った。