152 秘密兵器

「昭子」

藤原昭子が藤原航の声を聞いた時、驚いて体を起こした。動きが大きすぎて、体の傷を引っ張ってしまい、顔を歪めながらも、声を出すことはできなかった。

「に、にいさま」藤原昭子は震える声で呼びかけ、頭を下げたまま藤原航を見ることができなかった。

「島田香織に会ってきた。彼女は公の場でお前に謝罪を求めている」藤原航は無表情で言い、立ち去ろうとした。

「にいさま、私のために取り成してくれなかったの?」藤原昭子は急いで尋ねた。彼女は藤原航の妹で、兄が心の底では自分を可愛がっていることを知っていた。

藤原航は足を止め、藤原家で島田香織が謝罪を強いられた様子を思い出し、心の中で苛立ちを感じたが、表情には出さなかった。

「昭子の言う通りだ、航。妹のために謝罪しなかったのか?」藤原おじいさんが外から入ってきて、冷たい表情で尋ねた。