174 因縁の出会い

島田香織は元々島田根治と江田景に自分の家に泊まってもらおうと思っていたが、断られてしまった。

「どうして私の家に泊まらないの？」島田香織は甘えるように江田景の腕にしがみつきながら言った。彼女は江田景とゆっくり話したかった。母娘二人はもう長い間会っていなかったのだから。

「ホテルの方が便利だから」江田景は笑顔で香織を見つめ、赤い唇を少し上げながら続けた。「明日また会いに行くから、いい子にしていてね！」

「そう…わかったわ」島田香織は少し落ち込んだ様子で言った。

島田香織が両親とホテルに着くと、入口で何人かの見覚えのある人に出くわした。

鈴村凛は藤原昭子と仲が良く、以前島田香織が愛人だという噂を広めるのを手伝った人物だった。

彼女は以前、藤原昭子のために工作員を雇い、島田香織のSNSで様々な中傷を行っていた。

島田香織が藤原家にいた頃、鈴村凛はよく藤原家に遊びに来ていて、藤原昭子と二人で島田香織に嫌味を言ったり、時には罠を仕掛けたりしていた。

先日のパーティーで、藤原昭子のドレスが破れて、ほぼ裸同然になってしまい、恥をかいたのは藤原昭子だけでなく、彼女と親しい鈴村凛も巻き添えを食らった。

まさに因縁の出会いだった。

鈴村凛は元々島田香織に仕返しをしようと思っていたので、島田香織を見かけるや否や、怒りに任せて前に進み出て、きちんと清算しようとした。

彼女が一歩踏み出した瞬間、誰かに引き戻された。困惑して父親の鈴村勇を見た。

鈴村勇は恭しく前に進み出て、島田根治の顔を見つめながら、「島田社長、島田奥様」と挨拶した。

鈴村凛は顔色を変え、鈴村勇が挨拶した二人を信じられない様子で見つめた。

島田香織が腕を組んでいた女性は知っていた。有名な大スター江田景だ。そして江田景の隣に立っている男性は間違いなく島田族長の島田根治だった！

鈴村凛の体はぐらつき、母親が支えていなければその場で倒れていたかもしれなかった。

島田根治は鈴村勇を見て、藤原家から持ち帰った怒りが少し和らぎ、目つきも柔らかくなった。「久しぶりだね」

鈴村勇は島田根治と軽く言葉を交わしながら、江田景の隣に立つ島田香織に目を向けた。

島田香織が藤原航の前妻だということは、安川市中の誰もが知っていた。彼は笑顔で探るように尋ねた。「島田社長、こちらがお嬢様でしょうか？」