藤原昭子は島田香織を見上げ、眉をひそめて不満そうに言った。「島田香織も私に薬を盛ったわ。あの時、私を輪姦させようとしたのよ。」
「それはあなたが仕掛けたことで、香織は正当防衛をしただけよ。」江田景は無表情で藤原昭子を見ながら説明した。
江田景は常に身内を庇う性格で、物事の正否に関係なく、いつも娘の味方をする。ましてや娘は目には目を返しただけだった。
藤原おじいさんは藤原昭子を厳しく睨みつけ、もう話すなと暗に示し、鈴村秀美に昭子を連れて行くよう合図した。
鈴村秀美は前に出て、藤原昭子を連れ去った。藤原昭子が去ると、藤原おじいさんはようやく安堵の息をつき、「藤原家として謝罪します」と言った。
「藤原おじいさん、文面での謝罪は意味がないと思います。動画で謝罪されてはいかがでしょうか」と江田景は真剣な表情で藤原おじいさんを見つめながら尋ねた。
藤原おじいさんは、自分の老いた顔で島田香織に謝罪しなければならないことを考え、顔に躊躇いの色が浮かんだ。
「藤原おじいさんが謝罪されないのであれば、それも構いません。ただ、藤原家が今後存続できるかどうかわかりませんし、藤原さんが必ず刑務所に入ることは確実です」と島田根治は、藤原おじいさんが昭子を贔屓しているように感じ、容赦なく威嚇した。
島田根治の言葉を聞いて、藤原おじいさんは不本意ながら頷いた。
島田香織は事態が解決したのを見て、島田根治と江田景に笑顔を向けた。「お父さん、お母さん、帰りましょう」
島田根治は立ち去る際、藤原航の方に歩み寄り、我慢できずに言った。「以前、香織があなたと結婚したいと言った時、私と彼女の母親は反対でした。結局、藤原家には格がなく、私たちの家とは釣り合わないからです」
「でも香織はあなたとの結婚に固執し、私たちとの関係を絶ってまでも結婚しようとしました。今になって見れば、あなたの家族は年寄りは目が曇り、他の者たちも見て見ぬふりをして心が腐っていたようですね。今はもう私の香織とは離婚したのですから、今後は彼女の前に現れないでください」
藤原航は黙って俯いていた。
島田香織は島田根治の言葉を聞きながら、目が少し赤くなった。
あの時は目が眩んでいたのだ。一度痛い目に遭えば懲りる。もう二度とこんな過ちは犯さないと誓った。