176 身分違いの結婚

島田香織は陣内美念からの電話だと分かり、出た。

「香織」電話の向こうから陣内美念の興奮した声が聞こえた。「やっと気が変わって、身分を隠さないことにしたの?」

島田香織は苦笑いして言った。「これはいいことじゃないわ!」

島田香織は以前も公になることを望んでいなかった。シンプルな生活を送りたかったからだ。

陣内美念は島田香織の言葉を聞いて、意地悪そうに「へへ」と笑い、それから言った。「みんなが私に、どうして急に島田家のお嬢様になったのかって聞いてくるわ。そうそう、藤原昭子がSNSとWeiboに文章で謝罪文を投稿したわ。画像を送ったから、見てみて」

「文章での謝罪?」島田香織は眉をひそめ、冷ややかに鼻で笑い、軽蔑した口調で言った。「藤原昭子も面白いわね。動画での謝罪はしないつもりなのね」

「動画での謝罪?」ソファーに寝転がっていた陣内美念は、瞬時に興奮して体を起こし、楽しそうに口角を上げた。「香織、どういうこと?早く教えてよ!」

島田香織は駐車場に着いており、これから起こることを考えながら言った。「今から車で帰るところだから、家に着いたら話すわ」

そう言って、島田香織は電話を切った。

藤原昭子がこんなに早く文章で謝罪するなんて、動画での謝罪を逃れようとしているのかしら?

島田香織は口角を上げた。でも藤原家はそうは逃げられないわ。

藤原昭子がSNSとWeiboに謝罪文を投稿した時、全国のセレブや金持ちの子女たちは衝撃を受けた。

島田家。

それは四大秘族の筆頭であり、噂によると島田家は世界各国での資産がすべてトップ10に入っているという。これは普通の富豪とは比べものにならない。

噂では島田族長の島田根治には一人娘しかいないという。これは何を意味するのか?

当時、島田香織が藤原航と結婚したのは、玉の輿どころか、格下との結婚だったということだ!

上流社会の付き合いは限られており、トップクラスもほんの一握りだ。サークル内の誰もが知っている、島田家は単なる金持ちではないということを。

島田香織の母親である江田景は有名な大スターで、彼女の資産は島田家の資産には含まれておらず、個人資産は世界ランキングで20位以内に入っている。

藤原昭子と親しかったお嬢様たちは、一人一人が家族から藤原昭子との付き合いを禁じられた。