島田香織は陣内美念を引き止め、首を横に振って、振り返って藤原航に淡々と答えた。「うん。」
そう言うと、島田香織は陣内美念を連れて立ち去った。
陣内美念は島田香織も藤原航と関わりたくないのを見て、心が晴れた気分になり、「これからは藤原航とは距離を置いた方がいいわ。また不運を引き寄せられたら困るもの」と言った。
島田香織と陣内美念が家に戻ると、陸田健児が島田香織の部屋の前に立っているのが見えた。
陣内美念は島田香織の方をちらりと見て、冷たい表情で陸田健児に挨拶をし、自分の家へと戻った。安田暖香が陸田健児の義姉だと知っていなければ、絶対に陸田健児を島田香織に近づかせなかっただろう。
島田香織はドアを開け、自分が入り、陸田健児を招き入れた。
廊下で陸田健児と話をするのは避けたかった。壁に耳ありで、また噂が広がることを心配したからだ。