215 真相を究明する

その男は中に駆け込むと、カメラを取り出した。

島田香織は不味いと思い、横を向いて写真を撮られないようにした。

藤原航がカメラを奪おうとしたが、その男は写真を撮るとすぐに逃げ出した。

カフェのマネージャーは藤原航を困惑した表情で見つめ、しばらくして急に気づいたように息を飲んで言った。「あ、あなたは…」

「昨夜、この個室を閉めたのは誰だ?」藤原航は険しい表情でカフェのマネージャーを見つめ、眉をひそめた。

「藤、藤原社長?」カフェのマネージャーは信じられない様子で藤原航を見つめた。この男が藤原航だとは思いもよらず、胸に不吉な予感が広がった。「この個室は事前に予約が入っていて、お客様が今朝まで誰も近づけないようにと…」

カフェのマネージャーは震えながら、しばらくしてようやく言った。「その方は、不倫現場を押さえるために来たと…奥様が他の男と逃げたと…」

カフェのマネージャーは泣きそうだった。今回は大変なことをしでかしてしまい、これからの仕事が危うくなった。

マネージャーは何か思い出したように外に出て、入口の横にあったバッグを藤原航に渡した。「社長、このバッグはこちらの女性のものでしょうか?」

「下がっていい」藤原航はマネージャーの震える様子を見て、直接追い払い、手にしていたバッグを島田香織に渡しながら冷たく言った。「部屋の電話が壊れている。新しいのを持ってこい」

マネージャーは震えながら外に向かい、うつむいたまま歩いて行き、丁寧にドアを閉めた。

マネージャーが去ったのを確認してから、藤原航は手にしていたバッグを島田香織に渡して言った。「はい!」

島田香織はバッグを受け取り、開いて確認すると確かに自分のものだった。外に向かって歩き出し、入口まで来ると何か思い出したように振り返って藤原航を見た。「風邪薬、忘れないでね!」

島田香織はそう言うと、振り返ることなく外に向かって歩いて行った。

「必ず調べさせる」

島田香織は背後から聞こえた藤原航の声に、足を止めることなく外へと歩き続けた。

島田香織は家に帰ると、シャワーを浴び、パジャマ姿でだらしなくベッドに座った。

彼女は携帯を取り出し、まず奈奈さんにメッセージを送り、昨夜の件について調べるよう依頼した。