その男は中に駆け込むと、カメラを取り出した。
島田香織は不味いと思い、横を向いて写真を撮られないようにした。
藤原航がカメラを奪おうとしたが、その男は写真を撮るとすぐに逃げ出した。
カフェのマネージャーは藤原航を困惑した表情で見つめ、しばらくして急に気づいたように息を飲んで言った。「あ、あなたは…」
「昨夜、この個室を閉めたのは誰だ?」藤原航は険しい表情でカフェのマネージャーを見つめ、眉をひそめた。
「藤、藤原社長?」カフェのマネージャーは信じられない様子で藤原航を見つめた。この男が藤原航だとは思いもよらず、胸に不吉な予感が広がった。「この個室は事前に予約が入っていて、お客様が今朝まで誰も近づけないようにと…」
カフェのマネージャーは震えながら、しばらくしてようやく言った。「その方は、不倫現場を押さえるために来たと…奥様が他の男と逃げたと…」