237 嫌な爺さん

藤原おじいさんの言葉が落ちると、藤原執事は書類かばんから一通の書類を取り出した。

今回、藤原執事は機転を利かせて、書類を開いてから島田根治と江田景の前に置いた。

江田景は冷たい表情で一瞥した。藤原家は本当に人によって態度を変えるものだと。

以前、島田香織が一般人として藤原家に嫁いだ時は、藤原家は島田香織に何の結納金も渡さなかったのに、今、藤原家は島田香織が島田家の令嬢だと知って、こんなにたくさんの結納金を用意するなんて!

江田景は思わず嘲笑した。

藤原おじいさんは江田景の親らしい態度を見て、顔色を悪くし、躊躇いながら尋ねた。「江田夫人、この結納金にご不満でしょうか?」

江田景は軽蔑的な笑みを収め、藤原おじいさんをじっと見つめながら言った。「藤原おじいさん、私たちには香織一人しか娘がいません。将来、私たちの財産もすべて香織のものです。」

江田景のこの言葉を聞いて、藤原おじいさんの目に光が走った。

江田景は当然、藤原おじいさんの目の動きを見逃さなかった。彼女は続けて言った。「親として、私たちは香織が幸せに暮らせることだけを願っています。たとえ島田家が持参金を出しても構いません。以前の結婚の時、私たちは貴方たちが彼女を大切にしてくれると思っていましたが、まさかこんなことになるとは。」

江田景の言葉の裏には、藤原家が人によって態度を変える、あまりにも打算的だという皮肉が込められていた。

今になって島田香織が島田家の令嬢だと知り、こうして求婚に来るなんて、本当に厚かましい!

藤原おじいさんはもちろん江田景の言葉に込められた皮肉を聞き取れたが、藤原航と島田香織を結婚させるためには、耐えるしかなかった。

彼は元々別の人に島田香織を誘惑させようとしたが、その人は島田香織に会うこともできなかった。

「江田夫人のおっしゃる通りです」藤原おじいさんは江田景に笑顔を向け、何も聞き取れなかったふりをして、ため息をつきながら言った。「以前の彼らは縁がなかったのですが、今やっと花が開き、月が明るく照らす時が来たのです。私たち年長者は、二人の幸せを祝福すべきではないでしょうか!」

そう言って、藤原おじいさんは続けた。「航はあまり口数が多くない子供ですが、行動で示す子です。彼はすでに私に誓いを立て、必ず島田香織を守ると約束しました。」