島田香織と藤原おじいさまは並んでレストランの中へ歩いていき、藤原執事は藤原おじいさまの後ろに立っていた。
藤原おじいさまはいつも礼儀を重んじる人で、どこにいても体面を保とうとする人物だった。
彼は長老として、若い者と一緒に歩く時は、必ず若い者が後ろを歩くべきなのに、島田香織は礼儀作法を全く知らないのだ!
藤原おじいさまは眉をひそめたが、口には何も出さなかった。
藤原執事は予め席を予約していたので、一行が到着すると、すぐにデザートが運ばれてきた。
島田香織はそこに座り、ただ静かに藤原おじいさまを見つめていた。
藤原おじいさまは本来、島田香織に先に食べ始めてもらおうと思っていたが、彼女が食べないのを見て、ようやく口を開いた。「島田お嬢様、この味がお気に召しませんか?他のものをご注文しましょうか?」
島田香織はゲームをしていたが、藤原おじいさまの言葉を聞いて顔を上げ、微笑んで言った。「いいえ、食欲がないだけです。」
藤原おじいさまを見ていると完全に食欲がなくなり、一口でも食べたら、この数日間食べたものを全部吐き出してしまいそうだった。
「藤原おじいさま、おっしゃりたいことがあるなら、率直に言っていただけませんか?」島田香織は藤原おじいさまから目を離さず、笑いながら言った。
藤原おじいさまはナプキンで口を拭い、本来は感情に訴えかけるつもりだったが、島田香織にそう言われ、躊躇してしまった。
「島田お嬢様がそうおっしゃるなら、私も率直に申し上げましょう」藤原おじいさまはお茶を一口すすり、少し間を置いてから言った。「ネット上のニュースは、島田お嬢様もご覧になったでしょう。この件は我々両家に関わることで、私は島田お嬢様が潔白で、誹謗中傷されているのだと信じています。」
島田香織は藤原おじいさまの言葉を聞いても、表情を変えなかった。
「ただし、藤原家も島田家も名門です。この件は両家に大きな影響を及ぼしています。今回島田お嬢様にお会いしたのは、解決策を相談させていただきたいと思ったからです。」藤原おじいさまは真面目な表情で言った。
藤原おじいさまの言葉を聞いて、島田香織は思わず笑って言った。「では、藤原おじいさま、どのように解決すべきだとお考えですか?」