276 詰問

島田香織はまた夢を見た。

夢の中で、彼女は塞壁城にいるようだった。

彼女は6人のマスクをした男たちに囲まれ、逃げようとしても逃げられない。そのとき、藤原航が現れた。

彼女には彼らが何を言っているのか聞き取れなかったが、藤原航が片手で銃を持ち、自分の肩に向かって発砲するのを目にした。

島田香織は夢から飛び起き、ベッドから起き上がると、ちょうど横の目覚まし時計が鳴り出した。彼女は手を伸ばしてアラームを止めた。

先ほどの夢はとてもリアルで、まるで実際に起きたことのようだった。

島田香織は藤原航の肩の傷跡を思い出し、眉をひそめた。岡田雪が言っていた、藤原航が彼女のために撃たれたという話を思い出した。

藤原航の肩にも確かに銃創があった。

島田香織の頭は混乱していた。その夢は実際に起きたことのような気がして、単なる夢とは思えなかった。

もう7時になっていた。島田香織は簡単に身支度を整え、朝食を買いに降りようとドアを開けると、陸田健児が壁にもたれかかって箱を持っているのが見えた。

陸田健児は昨夜と同じ服を着ていて、その美しい涼しげな目は充血し、目の下にクマができ、とても疲れた様子だった。

「香織さん」

陸田健児の声はかすれていた。

島田香織は少し驚き、陸田健児を見つめながら尋ねた。「一晩中ここに立っていたの?」

島田香織は陸田健児の顔色が悪いのを見て、手を伸ばして額に触れようとしたが、その手は陸田健児に掴まれてしまった。手を引こうとしたが、むしろより強く握られた。

陸田健児は顔を上げて彼女を見つめ、その目には笑みが消え、澄んだ瞳には島田香織の顔だけが映っていた。

「具合が悪いの?」島田香織は尋ねた。

「これを」陸田健児は手提げ箱を島田香織に差し出した。

「これは何?」島田香織は困惑して陸田健児を見た。

「結納金です」陸田健児は苦々しく言った。

陸田健児はそう言いながら、手提げ箱を島田香織の手に置いた。

島田香織は手提げ箱を見つめ、驚いた表情で陸田健児を見上げて尋ねた。「結納金?どういうこと?」

陸田健児は黙ったまま、そこに立ち、島田香織から目を離さなかった。

島田香織はすぐに理解し、箱を持つ手が思わず強く握りしめられた。説明しようとした矢先、陸田健児が背を向けて立ち去るのを見た。