第309章 心が乱れた

島田香織は驚いた表情で陣内美念を見つめた。田村警部はいつも陣内美念を可愛がっていたのに、どうして喧嘩するようになったのだろう?

「何があったの?」島田香織は尋ねた。「もしかして渡辺能野のことで?」

島田香織は、陣内美念が昨日SNSで渡辺能野の名前を出して非難していたことを思い出した。

富田悠太の話が出ると、陣内美念は急に怒り出し、激怒して言った。「全部渡辺能野というクズ男のせいよ。ヤリ逃げして、責任も取らずに逃げ出すなんて。藤原航もクズだけど、渡辺能野もクズ。だから二人は昔からよく一緒にいたのね!」

島田香織は眉を少し上げ、驚いた表情で陣内美念を見た。「もしかして、あなたと渡辺能野は...」

「まさか、私は彼となんの関係もないわ。」

「業界の若い子が渡辺能野と関係を持って、今妊娠しているの。でも渡辺能野は認めようとしなくて、その子が思い詰めて川に飛び込んで自殺を図ったの。」

「命は助かったけど、その後すぐに手首を切って自殺しようとして、今はずっと誰かが付き添わないといけない状態なの。」

「私が渡辺能野を非難していたとき、田村警部が来て、私と渡辺能野にそういう関係があると思い込んで、怒り出したの!」

「全部渡辺能野が悪いのよ。渡辺能野さえいなければ、田村警部も怒ることはなかったはずよ!」

島田香織は考え深げに俯いた。渡辺能野は以前、藤原おじいさんが藤原航の側に置いたスパイだった。藤原航は今や藤原おじいさんと決裂し、渡辺能野とも付き合いがなくなっていた。

「渡辺家は今どんな状況なの?」

「聞いた話では、渡辺能野のお父さんに隠し子がいて、今家に引き取られたらしいわ。渡辺家は今めちゃくちゃよ。」陣内美念はこの話をする時、得意げな表情を浮かべた。「渡辺家はもともと大した家柄じゃないし、今は隠し子と渡辺能野で財産を分けることになるでしょ。これからどうやって威張るつもりかしら!」

「香織、後で田村警部に私のことを説明してくれない?私と渡辺能野には何の関係もないって伝えて。」

島田香織はそれを聞いて笑った。「田村警部は今、あなたの説明を待っているんじゃないかしら。自分で説明した方がいいわよ。」

「私の性格を知ってるでしょう。すぐに頭に血が上って、喧嘩になりそう。それに、もう三日も電話に出てくれないの。」