東山光は初めて陸田健児がこんなに魂が抜けたような様子を見た。組織の任務がなければ、陸田はもっと早く来ていただろう。
東山光は少し考えてから、諭すように言った。「陸田社長、島田お嬢様は藤原社長とは絶対に一緒になることはないと思います。」
東山光のその言葉を聞いて、陸田健児の目が一瞬輝いた。
東山光は意を決して続けた。「もし島田お嬢様が藤原社長を許せるのなら、離婚することもなかったはずです。島田お嬢様も結婚から逃げ出すこともなかったでしょう。たとえ鈴村さんが藤原社長を許したとしても、藤原家の他の人たちはどうでしょうか。彼らは以前、島田お嬢様をあんなに苦しめたのに、島田お嬢様が彼らを許せるでしょうか?」
陸田健児は物思いに沈んだように東山光を見つめた。
「たとえ島田お嬢様が寛大で、愛のために藤原航と一緒になれたとしても、島田お嬢様はもう一度島田家を離れることができるでしょうか?私はそれはないと思います。」東山光はこう言いながら、じっと陸田健児を見つめ、彼が同意するような表情を見せたのを確認して、少し安堵した。