372 彼を守る

鈴木成一は本当に藤原家に取り入りたかったが、こんな大きな侮辱は受けたくなかった!

目の前の田中安尾は藤原航の足の爪一つにも及ばない。以前の自分は本当に目が曇っていて、田中安尾を選んでしまったなんて。

しかし、今更後悔しても仕方がない。既に藤原航を怒らせてしまい、今度は田中安尾まで怒らせたら、全てが水の泡になってしまう!

そう考えて、鈴木成一は田中安尾への不満を抑え込み、静かな声で言った。「社長候補、中でお着替えされませんか?そのお洋服はもう……」

田中安尾は鈴木成一の話を聞くだけでイライラし、不機嫌な表情で鈴木成一を押しのけ、近くにいたウェイターのところまで足早に歩いていき、ウェイターのトレイからワインボトルを取り、威圧的な様子で藤原航に向かっていった。

「藤原航、お前は偉そうだな。お前、藤原家がなければ何の価値もないくせに。パパ活野郎が調子に乗りやがって。くそったれ、今日こそ誰が本当の藤原家の若旦那か思い知らせてやる!」