いつの間にか、島田香織は中級コースの方へ滑っていた。そこは初級コースより人が少なく、彼女はより自由に楽しんでいた。
藤原航は人混みの中で島田香織を探し回り、彼女を見つけた時、彼女が脇に立ち止まっているのを見た。
藤原航は素早く滑り寄り、心配そうに島田香織を見つめ、眉をひそめながら尋ねた。「転んだのか?」
島田香織は藤原航が来るのを見て、軽く首を振り、言った。「何でもないわ。あなたを待っていただけよ。」
島田香織のその何気ない一言に、藤原航の心臓は一拍抜けた。彼は島田香織から目を離さず、この瞬間が永遠に続けばいいと願った。
「僕はいつでも君についていけるよ。」藤原航は表情を和らげ、静かに言った。
島田香織はそこまで深く考えていなかったが、好奇心から尋ねた。「どうして私が中級コースにいるって分かったの?」
「当ててみる?」
「面倒くさいわ。」島田香織は考えるのをやめ、また滑り出した。
藤原航は島田香織の優美な姿を見つめ、薄い唇がかすかに上がったが、すぐにその弧は消え、急いで彼女の後を追った。
中級コースで滑る人のほとんどはスキーの基礎がある人たちで、今は技を披露し始めていた。
耳元で風が唸り、島田香織のスピードが上がるにつれて風の音は大きくなり、彼女の速度もどんどん速くなった。彼女はこの感覚が大好きで、まるで馬に乗って駆け抜けているようだった。
一時間以上経って、島田香織は徐々にスピードを落とし始めた。少し疲れていた。
藤原航は徐々に島田香織の横に止まり、低い声で尋ねた。「疲れた?」
島田香織は少し息を切らし、頬を赤らめながら、笑顔で藤原航を見て、「ちょっとね。」と答えた。
スキーは実際体力を消耗するスポーツで、島田香織は今日の運動量で十分だと感じていた。今日は好きなものを食べても、太る心配はないだろうと思った。
「帰る?」藤原航は好奇心を持って尋ねた。
島田香織は軽く頷いて、「そうね!」と言った。
二人は一緒に戻り始め、初級コースに戻った時、島田香織は小さな女の子とぶつかりそうになったが、幸い藤原航が素早く彼女を引き寄せた。
しかし、その女の子はそれほど運が良くなく、そのまま地面に転んでしまった。
その女の子の友達が駆け寄り、一緒に彼女を起こした。