386 私はあなたを待っていただけ

いつの間にか、島田香織は中級コースの方へ滑っていた。そこは初級コースより人が少なく、彼女はより自由に楽しんでいた。

藤原航は人混みの中で島田香織を探し回り、彼女を見つけた時、彼女が脇に立ち止まっているのを見た。

藤原航は素早く滑り寄り、心配そうに島田香織を見つめ、眉をひそめながら尋ねた。「転んだのか?」

島田香織は藤原航が来るのを見て、軽く首を振り、言った。「何でもないわ。あなたを待っていただけよ。」

島田香織のその何気ない一言に、藤原航の心臓は一拍抜けた。彼は島田香織から目を離さず、この瞬間が永遠に続けばいいと願った。

「僕はいつでも君についていけるよ。」藤原航は表情を和らげ、静かに言った。

島田香織はそこまで深く考えていなかったが、好奇心から尋ねた。「どうして私が中級コースにいるって分かったの?」