391 兄

島田香織と藤原航は個室から出てきて、ぶらぶらする気分でもなく、一緒に市街地へ戻ることにした。

島田香織は先ほどの小山然の藤原航に対する敵意を思い出し、車に乗り込んで助手席に座り、シートベルトを締めながら、さりげなく尋ねた。「小山若様とは知り合いなの?」

藤原航は島田香織の言葉を聞いて、彼女の方を向き、鈴木おばあさんの誕生日パーティーでのことを思い出し、唇の端を少し上げて、優しく尋ねた。「気になるの?」

島田香織は冷淡に視線を外し、窓の外を見て、藤原航の相手をする気が失せた。

「以前、ビジネスで一度関わっただけだ」藤原航は小山然が以前は彼に取り入ろうとしていたのに、今では徹底的に貶めようとしていることを思い出した。

藤原航は自分の立場が変わったことで、小山然の態度も変化したことを当然理解していた。