388 私は男が好き

島田香織は落ち着いた表情で藤原航の方へ歩き出した。まだ近づく前に、藤原航が彼女の方へ歩み寄ってきた。

藤原航は島田香織が話し始める前に、急いで説明した。「彼女は単に私の電話番号を聞いただけです。」

島田香織は少し戸惑い、藤原航の顔を見つめ、軽く唇を噛んで言った。「私たち、もう関係ないでしょう。あなたの個人的なことは私には関係ありません。」

藤原航はじっと島田香織を見つめ、俯いて何も言わなかった。

そのとき、突然島田香織の携帯が鳴った。見てみると、知らない番号からのメッセージだった。

「こんにちは、先ほど電話番号を聞いた女の子です。」

島田香織は藤原航を見上げ、目を細めて、下を向いて返信を打った。「すみません、私は男性が好きです。」

島田香織はメッセージを送り終えると、携帯をバッグにしまった。

島田香織はわざと藤原航の前でメッセージを送ったが、彼が止めようとしないのを見て、少し驚いて尋ねた。「あなたのイメージに影響しないの?」

「あなたが楽しければそれでいい。」藤原航は少し俯きながら、愛情たっぷりの眼差しで島田香織を見つめ、その目は優しさで溢れていた。

島田香織は藤原航の視線に少し居心地が悪くなり、顔を別の方向に向けた。

二人は温泉の方へ向かった。温泉は室内にあり、外の寒さは全く関係なかった。

ホテル内には人工の山々が立ち並び、花々が咲き誇っていた。

島田香織と藤原航は猿のような形の人工の山の近くまで来て、ミルク温泉に向かおうとしたとき、控えめな女性の声が聞こえた。

「あぁ、あなた狂ってるの?やめて、誰か来たらどうするの?」

「ベイビー、そんなこと考えすぎだよ。ここは人けのない場所だから、誰も来ないよ。」

その後、人工の山の向こうから二人の荒い息遣いとパンパンという音が聞こえてきた。

藤原航と島田香織の顔には気まずい表情が浮かび、島田香織は前を指差して、そちらへ歩き出した!

二人が数歩進むと、後ろから女性の甘い喘ぎ声が聞こえ、島田香織の顔は更に赤くなった。

島田香織には理解できなかった。なぜこの二人は外で発情するのか、見知らぬ人に出くわす心配はないのだろうか?

二人は赤ワイン温泉を見つけ、入って温泉を楽しんだ。

島田香織は先ほどのカップルのことを思い出すと、思わず顔が赤くなった。とても気まずい出来事だと感じた。