397 協力

藤原昭子は綺麗で、目の前の田中安尾もなかなかのルックスだ。

ただし、田中安尾には全く品がなく、藤原航の足の爪一つにも及ばない!

中島夏美は笑顔を一層輝かせ、眉を少し上げて好奇心を持って尋ねた。「藤原家の若様、何かご用でしょうか?」

田中安尾は姿勢を正して言った。「さっきの出来事は全て見ていました。」

中島夏美の笑顔は一瞬で消え、暗い眼差しで田中安尾を見つめた。「私を嘲笑いに来たんですか?」

「中島さん、誤解です」田中安尾は急いで説明した。「もちろんそんなつもりはありません。ただ、あなたと取引の話がしたいだけです。」

中島夏美の表情は少し和らいだ。彼女は田中安尾のような愚か者と何か取引ができるとは思えなかったが、田中安尾は藤原家の若様なので、面子を立てて、唇を少し引き締めて冷たく言った。「私たちの家は常に安定した取引関係にありますが、他にどんな取引があるというのですか?」

田中安尾は中島夏美の言葉を聞いて、話が通じそうだと察し、笑いながら言った。「中島さん、『敵の敵は味方』という言葉をご存知ですか?ある意味で、私たちは友達と言えるかもしれません。もちろん、この取引は藤原航に関することです。」

中島夏美の目が一瞬止まり、視線は田中安尾の顔を一周した。

彼女は中島家のお嬢様で、厳しい家庭教育を受けており、何も分からない世間知らずなお嬢様ではなかった。そうでなければ、橋本月見に対してずっと冷淡な態度を取ることもなかっただろう。

「藤原家の若様」中島夏美は軽く微笑んで、無関心そうに言った。「私とあなたには共通の敵なんていませんよ。」

田中安尾は笑顔を崩さなかった。彼は中島夏美がかなり愚かだと思った。彼の計画のためでなければ、こんな愚かな女と付き合いたくもなかった。

田中安尾は心の中で中島夏美の先祖代々を罵りながらも、表面上は取り入るような笑顔を浮かべて言った。「中島さん、さっきレストランにはあれだけの人がいたのに、藤原航はあなたの面子を考えず、優しく扱うこともしなかった。怒りませんか?」

田中安尾は中島夏美が黙っているのを見て、続けて言った。「中島さん、はっきり申し上げましょう。私は藤原航が気に入りません。彼が一生這い上がれず、泥沼に永遠に留まることを見たいだけです。そここそが彼の居場所なのですから。」