398 体調不良

田中安尾は中島夏美が心を動かされたのを見て、唇の端がかすかに上がり、「中島さん、お時間ありましたら、場所を変えて詳しくお話しできませんか?」と言いました。

中島夏美は自分の服を見下ろし、今の服装には我慢できないと思い、「申し訳ありませんが、今は用事がありますので、また今度にしましょう!」と答えました。

そう言うと、中島夏美は振り返ることなく立ち去りました。

田中安尾は驚いた表情で中島夏美を見つめ、さっきまでうまく話が進んでいたのに、なぜ突然態度が変わったのだろうかと思いました。

彼は困惑して中島夏美の後ろ姿を見つめ、大声で「中島さん、また今度というのはいつですか?」と呼びかけました。

中島夏美は足を止め、目に苛立ちの色が浮かびました。田中安尾はやはり上流社会で育っていないため、礼儀作法を全く知らないのだと思いました。

普通なら、彼女が電話番号を教えなくても、田中安尾は他の人から聞き出せるはずでした。

しかし中島夏美は今、田中安尾の愚かさを気にしている暇はありませんでした。彼女は振り返って田中安尾を見つめ、一連の数字を告げ、赤い唇を少し上げて「私の電話番号です」と言いました。

田中安尾は急いで携帯を取り出して電話番号を記録しました。彼がもう一言中島夏美に話しかけようとしましたが、彼女はすでに彼の視界から消えていました。

「ちぇっ」

田中安尾は横を向いて「ちぇっ」と舌打ちし、不満げにつぶやきました。「藤原航の何がいいんだろう。ただ顔が白いだけなのに、なぜ女性はみんな彼のことが好きなんだ?」

……

島田香織は今日生理中で、食欲があまりなく、食事の後、藤原航はウェイターにお湯を持ってくるように頼みました。

島田香織はそのお湯を見て、困惑した表情で藤原航を見つめました。

藤原航は声を低くして、優しく「顔色が悪いね。後で家まで送るよ」と言いました。

島田香織は手の中のお湯を強く握り、温もりが手のひらから血管を通じて全身に広がっていきました。

藤原家にいた時、ある日生理中に、藤原航がプールに落としてしまった結婚指輪を探すため、冬の寒さも気にせず、躊躇なくプールに飛び込んだことがありました。