438 謀られた罠

書斎に入ると、藤原航は口を開いた。「当時、私たちが新婚旅行で塞壁城に行った時、三日目に香織を暗殺しようとする者がいることに気付いたんです。」

島田根治は藤原航の言葉を聞いて、眉をしかめた。

「最初、狙撃手たちは暗がりに隠れていて、偶然にも私は香織を二度救うことができました。最初は私を狙っているのかと思いましたが、後になって私が香織の側にいなくても、彼らは香織を見張り続けていることが分かりました。」

「秘書に調査させたところ、最終的に彼らは香織を殺すために来たという結論に至りました。」

「当時、香織は私に身分を隠していたので、深く考えることもなく、誰かの恨みを買ったのかと思いましたが、彼女は誰とも揉め事はないと言っていました。」

「暗殺未遂は二十日間も続き、毎回、香織は危うく難を逃れました」藤原航はここまで話すと、表情が厳しくなった。「その後、暗殺未遂は突然なくなり、香織を見張っていた者たちも姿を消しました。」

島田根治はペンを回す動作を止め、尋ねた。「突然現れて香織を暗殺しようとし、そして突然いなくなった?」

「はい、香織を暗殺しようとした者たちが消えた二日後、今度は香織が誘拐されました。犯人たちは金を要求せず、私に自傷行為をさせようとしただけでした。」藤原航は簡単に説明した。「後で調べたところ、暗殺と誘拐は別のグループによるものだったようです。」

「暗殺は天組?誘拐は竜組?」島田根治も後に幾つかの痕跡を突き止めていた。

「そうです。」藤原航は最後にこう言った。「香織はあれだけの出来事を経験して、精神状態が良くなく、日に日に憔悴していったので、私は彼女と示し合わせて、喧嘩別れを装うことにしました。でも彼女は暗殺の影に怯え続けていたので、記憶を消すことを提案したんです。」

島田根治は目を伏せて言った。「あの時、彼女が私の反対を押し切ってあなたと結婚したことが、ずっと理解できませんでした。去年になってようやく当時何があったのか調査させ、私の娘が誰かに陥れられていたことを知ったんです!」

この件を思い出すと、島田根治の顔は真っ暗になった。もし当時この件を早く解明していれば、香織は人に虐められることはなかったのではないか。「後に鈴村京子のことを突き止めました。彼女は天組と密接な関係があると聞いています。」