445 男色に溺れる

島田香織はここまで考えると、うなずいて言った。「藤原おじいさんのことが心配です。」

「今は病院に寝ているから、出てきて暴れることもできないよ。気にせず座って。」藤原航は気にも留めずに言った。

「実は藤原おじいさんに元気になってほしいんです。そうしたら田中安尾がきっと殴られるはずですから!」島田香織は少し残念そうに言った。

二人が夕食を済ませた後、島田根治から島田香織に電話がかかってきた。

島田根治は島田香織に言った。「私が得た情報によると、小山家の小山然が陸田健児と手を組んで藤原航に対抗しようとしているらしい。鈴木グループの件で、藤原航はまた外出して対応しなければならないかもしれない。しばらくは彼に休暇を取らせたほうがいい。それと、秘書に陸田健児と小山然の動向を注意するように言っておいてくれ。」

これらの話を島田根治は藤原航には言わなかったが、密かにこの件について調べたのは、すでに藤原航を自分の身内として考えているからだった。

事情はある程度明らかになったものの、島田根治は島田香織の会社に口を出すのは気が引けたので、情報を島田香織に伝えただけだった。

父娘は30分以上話し、島田香織が電話を切った時、藤原航もずっと横で電話をしていたことに気がついた。

島田香織は藤原航を一瞥してから、キッチンに入り、すでに洗っておいたイチゴを取り出した。

藤原航はまだ電話中で、島田香織はソファに座ってイチゴを食べ始めた。

食べかけの時、彼女の隣の席が突然沈み、振り返ると藤原航が隣にいた。

藤原航は電話をしながら、頭を島田香織の手元に近づけ、口を開けて彼女の手にあるイチゴを食べた。

藤原航の舌が軽く島田香織の指をなぞった。

島田香織は笑いながら手を引っ込め、体を横にずらした。

藤原航は電話を切ると、躊躇なく島田香織に覆いかぶさった。

島田香織は心の中で「まずい」と思った。今夜もまた弄ばれることになりそうだった。

翌朝、島田香織は携帯の振動で目を覚ました。

目を開けた時、藤原航はすでに隣にいなかった。彼女はぼんやりと携帯を手に取り、着信表示を見た。

着信番号を見た瞬間、島田香織の眠気は一気に吹き飛んだ。急いで起き上がって電話に出ると、喜びの声で言った。「セブン!」

彼女はセブンと5年間連絡を取っていなかった。