奈奈さんは言った。「彼は今もカジノにいます」
島田香織の瞳に笑みが浮かび、続けて言った。「素晴らしいわ。そちらの人に伝えて、田中安尾のような愚かな魚はセブンに釣らせて、思い切り絞り取ってもらいましょう!」
奈奈さんは島田香織の言葉を聞いて、瞳に笑みを浮かべながら急いで答えた。「承知いたしました、島田お嬢様」
島田香織が電話を切ったところに、藤原航が外から入ってきて、興味深そうに尋ねた。「セブン?誰だ?」
島田香織は笑顔で藤原航を見つめ、話そうとした時、藤原航が部屋の明かりをつけた。
藤原航は島田香織の顔に視線を落とし、何気なく尋ねた。「もしかして、また陣内美念さんの親戚?」
島田香織は藤原航の言葉を聞いて、「プッ」と笑い出した。「まだそのことを覚えているの?そんなに小心者にならないでよ」
藤原航はスリッパを履いたままベッドに上がり、島田香織を抱きしめながら、彼女から目を離さずに言った。「分かってるだろう?他の男を見るだけでも、俺は嫉妬してしまうんだ」
藤原航は島田香織の手を取り、指先から腕まで優しく撫でた。
島田香織は何気なく説明した。「セブンは昔の同級生よ。彼はプロのギャンブラーでもあるの」
島田香織のイカサマの技術もセブンから学んだもので、今やセブンはイカサマ師ではなく、れっきとしたカジノの支配人になっていた。
田中安尾は普段これといった趣味もなく、金ができるとカジノに行って遊び呆けるのだった。
田中安尾がこんなに大きな贈り物をくれたのだから、島田香織も当然けちにはならない。彼にもお返しの贈り物をしなければならない。結局は持ちつ持たれつの関係でこそ長続きするものだし、田中安尾を苦しめる日々はまだまだこれからなのだから。
藤原航は島田香織から目を離さずに尋ねた。「ネット上の炎上は田中安尾の仕業か?」
島田香織は頷いた。このことは藤原航に隠すつもりもなかった。「セブンはカジノの支配人だから、田中安尾の相手をしてもらおうと思って。きっと下着一枚も残らないくらい負けるはずよ」
藤原航は意味深な目で島田香織を見つめ、尋ねた。「きっと全てを失うだけじゃないだろう?」
島田香織は口元に笑みを浮かべ、反問した。「私が彼から学んだんだから、当然でしょう?」