桜景園、竹内家。
中山美琴はお風呂から上がり、携帯を手に持って出てきた。携帯を見ても着信はなく、顔には少し焦りの色が見えた。
本を読んでいた竹内家成はちらりと見て、「最近、その携帯から離れないね。そんなに忙しいの?」と言った。
最近は食事中もお風呂の時も携帯を持ち歩いていた。以前はこんなことなかったのに。
中山美琴の口元の笑みが少し固くなった。「企画部の重要な計画書を待っているの。遅らせるわけにはいかないから」
時間から計算すると、山本社長が手配した人たちは今頃仕事を終えているはずなのに、なぜまだ連絡の電話がないのだろう。
前回のホテルでの一件以来、彼女は毎日気が気ではなく、一晩中ぐっすり眠れた日は一日もなかった。
山本社長に電話して状況を確認しようかと迷っていたその時、携帯が突然震えた。慌てて見ると、顔色が一瞬で変わった。
「私...書斎で電話に出てくるわ」
中山美琴はそう言うと、急いで寝室を出て書斎へ向かい、ドアを閉めてからメッセージを開いた。
メッセージは荒木雅からのもので、内容は一枚の写真だった。
彼女がそれを見た瞬間、荒木雅から電話がかかってきた。
「竹内奥様、写真はご覧になりましたか?」
「荒木雅、あなたは一体何がしたいの?」中山美琴は怒りで体が震えた。
この時間、彼らは彼女を始末しているはずなのに、なぜまだ写真で脅してくるのか。
「別に何も」工藤みやびは無関心そうに笑い、急に声を冷たくした。
「でも、もしまた人を雇って私を探しに来させたら、これらの写真をネットに流すわよ。こんな過激な内容なら、あなたは娘さんより有名になるかもね」
「荒木雅、あなた、よくも!」
「信じられないなら、試してみればいいわ」工藤みやびは冷たく鼻で笑った。
中山美琴は何度か深呼吸し、自分を落ち着かせようとした。「いくらなの?いくら払えばその写真を返してくれるの?」
「あなたがおとなしくして、もう私に迷惑をかけなければ、これらの写真はしばらくの間、大切に保管しておくわ。でなければ...」工藤みやびは冷たく笑い、電話を切った。
中山美琴は携帯を握る手が震え、まるで携帯を握りつぶしたいかのようだった。
山本守に電話して、なぜ仕事がうまくいかなかったのか問い詰めようとしたその時、山本守から先に電話がかかってきた。いきなり怒鳴り声が響いた。