十一時になってようやく、工藤みやびは宿題を終えた。
藤崎雪哉が彼女の宿題をチェックした後、時間を確認した。
「もう遅いから、早く寝なさい」
工藤みやびは机の上の書類の山を見て、「あなたたち...まだ残業するの?」
藤崎雪哉はうなずいた。「ああ、急ぎの書類を処理しないといけない」
工藤みやびは荷物を片付けて書斎を出て、自分の部屋に物を置いた後、ダイニングに行って紅茶を二杯淹れた。
一杯はリビングで書類を見て生きる気力を失いかけている藤崎千颯に、もう一杯は書斎の藤崎雪哉に持っていった。
「今夜の宿題、手伝ってくれてありがとう」
藤崎雪哉は鮮やかな色の紅茶を一口すすった。口に含むと芳醇で温かく、唇の端に喜びの弧を描いた。
「紅茶もありがとう、早く休みなさい」
おそらく人に勉強を教える楽しさを発見したのだろう、翌日も藤崎雪哉は早めに仕事を切り上げて帰ってきた。