第97章 何も私の女の子を口説くのを邪魔できない

十一時になってようやく、工藤みやびは宿題を終えた。

藤崎雪哉が彼女の宿題をチェックした後、時間を確認した。

「もう遅いから、早く寝なさい」

工藤みやびは机の上の書類の山を見て、「あなたたち...まだ残業するの?」

藤崎雪哉はうなずいた。「ああ、急ぎの書類を処理しないといけない」

工藤みやびは荷物を片付けて書斎を出て、自分の部屋に物を置いた後、ダイニングに行って紅茶を二杯淹れた。

一杯はリビングで書類を見て生きる気力を失いかけている藤崎千颯に、もう一杯は書斎の藤崎雪哉に持っていった。

「今夜の宿題、手伝ってくれてありがとう」

藤崎雪哉は鮮やかな色の紅茶を一口すすった。口に含むと芳醇で温かく、唇の端に喜びの弧を描いた。

「紅茶もありがとう、早く休みなさい」

おそらく人に勉強を教える楽しさを発見したのだろう、翌日も藤崎雪哉は早めに仕事を切り上げて帰ってきた。

しかし、夕食の時間になっても、とっくに下校しているはずの工藤みやびはまだ帰ってこなかった。

そこで、電話をかけた。

「まだ下校していないの?」

電話の向こうで、工藤みやびは声を低くして言った。「数学の補習クラスに申し込んだの、まだ授業中だから、帰りは少し遅くなるわ」

藤崎雪哉はしばらく考えてから、「わかった、授業を続けなさい」

ただ、電話を切ると、明らかに表情が暗くなった。

彼の教え方が十分ではなかったのか?

彼女はなんと...数学の補習クラスに通っているとは。

工藤みやびが数学の補習クラスを終えて、しらゆりマンションに戻ったのはすでに9時過ぎだった。

「補習クラスはどうだった?」藤崎雪哉は何気なく尋ねた。

工藤みやびは憂鬱そうにため息をついた。「先生の教え方は良かったんだけど、授業が終わった時に突然、家の事情があって補習クラスを閉めることになったって言われて、授業料を返金されちゃった」

藤崎雪哉は眉を上げた。「それで、どうするの?」

工藤みやびはため息をついた。「明日、別の場所を探してみるわ。学校の近くには補習クラスがたくさんあるから」

傍らでゲームをしていた藤崎千颯が言った。「直接、兄さんに補習してもらえばいいじゃないか。わざわざ補習クラスに行くなんて、面倒くさいだけだよ」