第139章 一緒に藤崎千明の映画を見る

二人は少しのお菓子と飲み物を持って階下に降り、次の階の家庭用小シアターに着いた。

「何を見たいか選んでみて?」

藤崎雪哉はそう言いながら、電気をつけ、カーテンを閉めた。

工藤みやびは映画が置いてある棚に駆け寄って少し探してみた。藤崎千明が出演した映画がどんなものか気になったので、彼の最近公開された映画を一本選んだ。

「これにしましょう、三の若様の新作です」

藤崎雪哉はそれを受け取ってプレーヤーに入れ、部屋の電気を消してソファに座った。

片手をみやびの背後のソファの背もたれに置き、長い脚を組んで、全体的にリラックスした様子で気ままな雰囲気を醸し出していた。

映画は軽いラブコメディで、冒頭は軽快でユーモラスだった。

藤崎千明の演技は最高とは言えないが、それほど不自然でもなかった。

工藤みやびはポテトチップスの袋を開け、食べながら映画を見て、面白いシーンでは盛り上がって笑った。

しかし、彼女の隣に座っている藤崎雪哉は、映画の内容をほとんど見ておらず、ほとんどの時間、彼の視線は彼女に向けられていた。

彼女がポテトチップスを美味しそうに食べているのを見て、好奇心から尋ねた。

「美味しい?」

工藤みやびは袋を彼に差し出して、「まあまあね、食べてみる?」

藤崎雪哉は彼女が差し出したポテトチップスの袋を見て、彼女が手に持っていた一枚を食べることを選んだ。

「確かに美味しいね」

「……」

彼女は袋の中のを食べてほしかったのであって、彼女の手にあるものを食べてほしかったわけではなかった。

工藤みやびはポテトチップスの袋を置き、飲み物を取って開けて一口飲んだ。

「最近は勉強に集中しないといけないから、あなたのランチは山本おばさんに準備してもらうことにしましょうか?」

藤崎雪哉は少し黙った後、残念そうに頷いた。

「うん」

彼は彼女が準備したランチの方が好きだったが、彼女は今試験の準備をしているので、彼女にこれ以上の負担をかけたくなかった。

「今日マネージャーと会って、今後パパラッチが張り込んで盗撮するのを防ぐために、もっと安全な住まいを手配してもらうことになったの、だから……」

「ここは安全だ」藤崎雪哉は冷たく彼女の言葉を遮った。

結局のところ、彼女はまだ引っ越す考えを持っていた。