二時間、ちょうど映画を一本見終わるのにぴったりだった。
映画が終わり、藤崎雪哉はソファの背もたれに掛けていたスーツの上着を手に取って着た。
「会社でまだ会議があるから、今夜は遅くなるかもしれない」
「わかった」
工藤みやびは彼を玄関まで見送った後、自分はまたシアタールームに戻り、安藤泰監督の何作かの名作を探した。
最も有名な作品を二本じっくりと観て、彼の常用する画面分割の手法や撮影の特徴を分析した。
気づかないうちにすっかり日が暮れ、使用人から夕食の準備ができたと電話があった。
二階に戻って一人で夕食を食べ、部屋に戻って勉強の復習に没頭した。
藤崎雪哉が帰ってきたとき、彼女はすでに眠りについていた。
それから一ヶ月余り、彼女は緊張した受験勉強に没頭した。
毎日、本を読んで復習するか、問題を解いて復習の成果を固めるかのどちらかだった。
藤崎雪哉もウィルソングループとの提携のため、しばしばサトアラ国へ飛ぶことがあり、よく十日や八日と出かけていた。
毎晩電話をするだけで、二人が顔を合わせる時間は少なくなっていた。
藤崎千明は急遽『長風』という作品を引き受けたため、多くの予定を前倒しにせざるを得ず、日々忙しく飛び回っていて、彼もめったに来なくなった。
これにより工藤みやびの大学入試に向けた環境は非常に快適でリラックスしたものとなり、あっという間に入試の時期となった。
彼女は夕食を済ませ、翌日持っていく文房具や証明書を一通り確認し、早めに身支度を整えて休む準備をした。
ベッドに横になったところで、藤崎雪哉から電話がかかってきた。
「明日試験?」
「うん」
「持ち物は全部準備できた?」
「準備できたよ」
「後で岡崎謙に電話して、明日迎えに行かせるよ」
「必要ないわ、試験会場はここから遠くないから、自分で行けるわ」工藤みやびが言い終わると、向こうで誰かが英語で会議が始まると告げる声が聞こえた。
藤崎雪哉はしばらく考えてから言った。
「早く休みなさい、明日の試験頑張って」
「うん」工藤みやびは返事をし、相手が電話を切ると、すぐに眠りについた。
朝、使用人はいつものように彼女の朝食を用意しに来た。他の受験生の緊張に比べ、彼女はずっと落ち着いていた。