第157章 顔で飯を食うのが何か問題？

まだ無名の新人だったため、工藤みやびの三人は静かに撮影隊が手配したホテルに到着した。

岡崎花音と工藤みやびが荷物を整理している間、石橋林人は傍らに立ってこの数日の予定を説明していた。

「今夜は撮影隊の食事会があって、主要スタッフと顔合わせをする予定だよ。」

「明日の朝9時にクランクイン式があって、それから正式に撮影が始まる。」

「僕はここで20日ほど待機する予定だ。そのころには撮影隊がプロモーションを始めるから、僕も戻って準備をしないといけない。」

……

工藤みやびは聞きながら、時々相槌を打っていた。

彼女も最近知ったばかりだが、あまり頼りなさそうに見える石橋林人は、実は千秋芸能のトップマネージャーの一人で、以前は二、三人のトップスターを担当していたのだ。

女っぽく見えるが、仕事の能力はかなり優れている。

「それから重要なことだけど、三の若様も同じ撮影隊にいるけど、彼を探したりしないで。できれば一緒に歩かないほうがいい。」

アシスタントの岡崎は少し驚いて、「どうして？」と尋ねた。

同じ撮影隊で、三の若様も千秋芸能の所属タレントなのに、お互いに助け合うべきではないのか。

工藤みやびは頷いて、「わかりました、気をつけます。」と答えた。

「それから、『長風』の撮影隊が招いた脇役はベテラン俳優ばかりだから、彼らを怒らせないように。できれば先輩たちに良い印象を残すといいよ。それはあなたにとって悪いことではないから。」と石橋林人は丁寧に忠告した。

彼が知っている出演予定の何人かは、映画界の大先輩で、若い頃は一世を風靡した人たちで、この業界での人脈は非常に広い。

彼女はまだこの業界に入ったばかりだから、彼らに良い印象を残し、さらに演技力も良ければ、将来彼らが他の監督に彼女を推薦してくれる機会もあるだろう。

「はい、わかりました。」工藤みやびは聞けば聞くほど、このマネージャーに満足していった。

石橋林人は安心したように頷いて、「じゃあ少し休んで、後で撮影隊の食事会に迎えに来るよ。」と言った。

工藤みやびは彼をドアまで見送り、自分は荷物の整理を続けた。

アシスタントの岡崎は手伝いながら、好奇心いっぱいに尋ねた。「みやび、どうして石橋林人兄さんは三の若様と助け合うのを禁止したの？」