第162章 空虚寂しい冷たい、誰かと寝る必要がある

村上社長は彼女の眼差しに一瞬たじろいだが、すぐにまた軽薄に鼻を鳴らした。

「山本守と寝るのはいいのに、俺とはダメなのか?」

以前は山本守がなぜいつも若い新人を弄びたがるのか理解できなかった。

今になってようやく、若い女の子のあの瑞々しくて新鮮な感じは、他の女優がどんなに演じてもかなわないものだと分かった。

工藤みやびは相手がドアの枠に手をかけている様子をちらりと見た。今夜彼を部屋に入れなければ諦めないという構えだった。

「村上社長、私の部屋は都合が悪いので…別の場所にしませんか?」

「いいよ、場所を変えよう。君の言うところならどこでも…」村上社長は彼女が妥協したのを見て、急いで手を伸ばし彼女の体に触れようとした。

「村上社長、何を急いでるんですか」工藤みやびは手を伸ばして彼のネクタイを掴み、笑いながら言った。「目を閉じてください。私がご案内します」

少女の声は柔らかく甘く、聞いていると骨まで蕩けそうだった。

「いいよ、閉じるよ、閉じるよ…」

工藤みやびは村上社長のネクタイを引っ張りながら、彼を連れて少し歩き、手を伸ばして一つの部屋のドアをノックした。

ドアが開くと、彼女は連れてきた人を中に押し込んだ。

「村上社長が寂しがっていて、誰かと寝たいそうです。あなたの場所をお借りして、もてなしてあげてください」

……

早朝、小沢子遠は帝都に戻るために飛行機に乗る準備をしていた。

竹内薫乃は彼を階下まで見送り、優しく諭すように言った。

「子遠兄さん、雅に一言挨拶してから行かれては?」

「彼女には会いたくない」小沢子遠は顔を冷たくした。

竹内薫乃は唇を噛み、表情には寂しさと心配が浮かんでいた。

小沢子遠は彼女が言いよどんでいる様子を見て、手を伸ばして彼女の肩を抱き、「他に何かあるの?」と尋ねた。

「実は…」竹内薫乃は心を痛めるように溜息をつき、言った。「実は雅を説得してほしかったの。昨夜、アシスタントが…彼女が村上社長と一緒にいるのを見たって。あなたも村上社長がどんな人か知っているでしょう…」

小沢子遠はそれを聞いて、顔色が暗くなった。

「彼女にはもう恥という概念がないのか。最初は山本社長と付き合い、今度は村上社長と関係を持つなんて。隆成グループのお嬢様という立場を捨てて、こんな下劣なことをするなんて…」