第172章 竹内薫乃がまた悪さを始めた

藤崎雪哉は驚き、少し黙った後、低くて魅力的な声で言った。

「とても知りたい?」

「うん」工藤みやびは好奇心をそそられた。

藤崎雪哉は低く笑い、「知りたいなら、早く帰ってきなさい」

「……」工藤みやびは口角を引きつらせた。

彼女はそんなつまらないことのために、早く帰るつもりはなかった。

「洗顔して寝るから、切るね」

藤崎雪哉は切りたくなかったが、自ら電話を切り、彼女の休息を邪魔しなかった。

工藤みやびは洗顔して休み、朝はいつも通り早起きし、すぐに撮影現場の生活に慣れた。

石橋林人は半月ほど滞在した後、帝都に戻って後続の宣伝活動の準備に向かった。

竹内薫乃と同じ撮影現場にいると、多くの衝突があると思っていたが、彼女は人前では自分のイメージのために、とても優しく善良に振る舞っていた。

さらに小倉穂と小林清風の共演シーンも少なく、基本的にメイクの時に会う以外は、普段はほとんど顔を合わせることもなかった。

日々は穏やかに過ぎ、あっという間に一ヶ月が経った。

ついに、小倉穂と小林清風の一場面の撮影となった。小倉穂が入寇の三王子の手先となった後、入寇と契丹が同盟を結び、平安の中州の国土を奪おうとする。

小林清風が常に武道界の人々と連携して入寇と契丹に対抗していたため、小倉穂は命令を受けて人を率いて小林清風を暗殺しようとする。黒鳶流の一派を殺した後、工藤長風が現れて人々を救出する。

大きなシーンだったので、安藤泰監督は要求が高く、三人にまず武術シーンの部分をしっかり練習させた。

竹内薫乃は武術指導と練習した後、積極的に彼女に対戦シーンの練習を求めてきた。

監督と撮影スタッフ全員がいたので、彼女ももちろん断ることができなかった。

最初は、小林清風と入寇の暗殺者が戦い、エキストラが倒れた後、小倉穂が出て、圧倒的な力で小林清風に重傷を負わせる。

工藤みやびが剣を突き出すと、脚本によれば竹内薫乃演じる小林清風はそれを避けるはずだったが、彼女は一歩遅れ、その剣が彼女の腕に刺さった。

小道具は刃がついていなかったが、竹内薫乃の手は皮が破れて血が滲んでいた。

「どうしたんだ?」

「大丈夫?」

……

監督と撮影スタッフが急いで駆けつけ、怪我が深刻でないことを確認してようやく安心した。