暗闇の中、二人の親密な距離が息を絡み合わせる。
工藤みやびは歯を食いしばり、藤崎雪哉がこんなに遠くから彼女の誕生日を祝いに来てくれたことへの感動も、彼のキスによってきれいさっぱり消え去ってしまった。
藤崎雪哉は彼女の反応を待ちきれず、思い切って手を彼女のTシャツの中に滑り込ませた。驚いた彼女は思わず口を開いた。
彼は強引でありながらも情熱的にキスをし、彼女はただ与えられるままだった。
彼女は腰に触れる彼の手を掴み、それ以上の行為に発展することを恐れた。
しかし、男の優しい唇と舌は、まるで芳醇なワインのように、彼女を酔わせていく…
しばらくして、藤崎雪哉はようやく理性を取り戻して彼女の唇から離れたが、すぐに彼女を抱きしめ、額や髪にキスをした。
一ヶ月以上、毎晩の短い電話だけだった。
この瞬間、ようやく彼女を腕に抱くことができ、もう二度と離したくないと思った。
工藤みやびは彼の胸に顔を埋め、しばらく抱かれたままで言った。
「ありがとう、誕生日を祝いに来てくれて」
それが彼女の本当の誕生日ではないにもかかわらず。
彼は仕事を終えてすぐに来て、4、5時間もかけて、12時前に彼女の誕生日を祝うために駆けつけてくれた。
感動しないはずがない。
「君が帰ってこないなら、僕が来るしかないだろう?」
藤崎雪哉は彼女を離し、部屋の明かりをつけて、美しく包装されたプレゼントを彼女に渡した。
工藤みやびは後ろめたい気持ちでプレゼントを受け取り、尋ねた。
「あの…夕食は食べた?食べ物を買ってきようか?」
「機内で食べたよ」
藤崎雪哉はそう言うと、スーツの上着を椅子の背もたれにかけ、そのままバスルームへ向かった。
しばらくして、バスタオル一枚を巻いただけで出てきた。
引き締まった肌には水滴が残り、腹筋と鍛え上げられた腰のラインがはっきりと見え、その色気に彼女は直視できなかった。
工藤みやびは気まずそうに壁を見つめながら、バスローブを彼に渡した。
「ここにはあなたの服がないから、これしかないわ。必要なら三の若様に借りてくるけど」
「彼のは着ない」藤崎雪哉はバスローブを受け取って着ると、携帯の着信音が鳴り、電話に出た。
工藤みやびは彼が電話に出ている間に、洗面所で身支度を整え、パジャマに着替えた。