「……」
工藤みやびは乾いた笑いを浮かべた。話が合わないと、すぐに結婚して子供を作ろうとする。
「私はただ……ちょっと気になっただけ」
「ただ気になっただけ?」藤崎雪哉は意味ありげに笑った。
工藤みやびは何度もうなずいた。「本当に気になっただけよ、別れる気なんて全然ないわ」
日本にいる限り、彼女は彼の手のひらの上にいる。別れたいと思っても簡単には別れられない。
「何が気になるんだ?」藤崎雪哉は余裕を持って尋ねた。
工藤みやびは体を反転させ、横向きになって彼に向き合った。
「ただ、理由のない好きはないと思うの。お金目当てか、色目当てかのどちらかよ」
「お金目当てなら、あなたは私よりずっとお金持ち。色目当てなら、同じベッドで寝てるのに興味も示さない。だから当然、あなたが私の何を好きなのか気になるわ」