第215章 左の頬を打った後、右の頬を打つ2

[竹内薫乃のセクシーな映画祭登場]熱が最高潮に達したとき、石橋林人はふたつの海外ファッションメディアのツイートを転載した。

ひとつはアジアで認められたファッションメディアが、西新宿映画祭のレッドカーペットで最も優れた衣装を着た9人の女優を発表したものだった。

国内外の著名な8人の女優の他に、もう一人は「ミューズ」のオートクチュールを身にまとった工藤みやびだった。

そして彼女の写真の背景には、不機嫌な顔をした警備員に退場を促される竹内薫乃の姿があった。

もうひとつのツイートは、「ミューズ」の主任デザイナーであるメリンによるものだった。

彼は工藤みやびの写真を添えてツイートした。

[今夜、私は真のミューズを見た!]

石橋林人は荒木雅のツイートを転載し、恥ずかしがる絵文字だけを付けた。

一方はアジアの有名なファッションメディアが発表した映画祭のベストドレッサーに荒木雅が選ばれ、人気絶頂の竹内薫乃は含まれていなかった。

もう一方は、その厳しい目で知られる「ミューズ」の主任デザイナーのメリンで、この二人の信頼性の高いファッション目利きが揃って荒木雅を高く評価していた。

これは実質的に、ツイッターのトレンド1位だった竹内薫乃の顔を平手打ちするようなものだった。

以前、一部の工作員や有名ツイッターユーザーが、竹内薫乃は栗原万莉を圧倒し、新世代のレッドカーペットクイーンだと話題を作っていた。

栗原万莉は「ミューズ」デザイナーのメリンのツイートを転載し、意地悪な表情で一言添えた。

[愛憎半ばするミューズのドレス!]

言外の意味は、誰かがミューズのドレスをこんなに美しく着こなせることに、自分は好きだけど着られないという嫉妬だった。

すぐに、ファッション界の人々も映画祭の女優たちの衣装について評価し始めた。

これらのファッション界の人々は、美とファッションに対して有名なほど厳しく、発言も毒舌で知られていた。

ある人は工藤みやびと竹内薫乃が一緒に写っている写真を投稿し、こう評した。

[一人は高級なセクシーさを表現し、もう一人は低俗に肉を売っている。]

[はぁ、露出が多いだけでセクシーと言えるの?]

[一部の人は、セクシーという言葉についてどんな誤解をしているの?]

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