第214章 左の頬を打った後、右の頬を打つ

映画祭の会場で、竹内薫乃は見た目から雰囲気まで、完全に粉砕されてしまった。

しかし日本のツイッターでは、彼女に対して全く逆の称賛の声が上がっていた。

竹内薫乃がレッドカーペットを歩いた後、彼女のマネージャーとファンクラブは東京国際映画祭での彼女のセクシーな美しい写真をいくつか投稿した。

すぐに、[竹内薫乃がセクシーに映画祭に登場]というハッシュタグがファンと工作員によってトレンド2位にまで押し上げられた。

それまでずっと清純路線だったのに、突然セクシーさをアピールしたことで、ファンや一般大衆は新鮮さを感じた。

そのため、ツイッター上であっという間に注目を集めた。

[清純にもなれて、艶やかにもなれる、これこそ真の女神だ!]

[超美しくて超セクシー、レッドカーペットの女王・栗原万莉を完全に凌駕!]

[すごく素晴らしい、薫乃がこんなにセクシーになれるなんて!]

[このレトロでセクシーなスタイル大好き!]

[美しさ極まる、新世代のレッドカーペット女王!]

……

清純からセクシーへのスタイルの急転換に加え、ファンと工作員たちの盛り上げ。

竹内薫乃の東京国際映画祭参加の話題は、一時ツイッター上で他を圧倒していた。

竹内薫乃のマネージャーとアシスタントは映画祭会場近くのレストランで、夕食を取りながら映画祭の終了を待っていた。

二人は国内のツイッターで急上昇する人気を見て、内心喜びを隠せなかった。

「荒木雅のツイッターをチェックしたけど、何の動きもないわ。どうやらドレスを見つけられなくて映画祭に参加できなかったみたいね」とアシスタントは他人の不幸を喜ぶように言った。

彼らはレッドカーペット会場に行っておらず、そこで何が起きたのか知らなかった。

ツイッターを見ても、荒木雅が東京国際映画祭に参加したという情報は一切なかった。

そのため、彼女がドレスを用意できずに参加できなかったと確信していた。

あいにく、石橋林人とアシスタントの岡崎は工藤みやびと藤崎千明をレッドカーペットに送った後、同じレストランに食事に来ていた。

竹内薫乃のマネージャーは二人を見かけると、すぐに申し訳なさそうな顔をして言った。

「石橋マネージャー、今日のドレスの件は本当に申し訳ありません。みやび姉さんが映画祭に参加できなくなってしまって」

「雅はもう……」